約 1,837,571 件
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/300.html
臨界 ◆E4GxMpkzKc 草が生い茂る平野で二機の巨人が対峙していた。 片方は大柄でもう片方は小柄。 大柄の方がまるで子犬を追いかけるかの様に小柄な方を追い掛け回している。 「ハーッ、ぜぇぜぇ。」 大柄な機体のパイロット、ゴステロは眩暈と息苦しさを覚えていた。 全身の痛みと頭痛に悩まされ標準すらままならない。 「そこのパイロット!君は先程痛みを覚えていると言ったがその原因は何だと思う?」 小柄な機体のパイロット、アムロがゴステロに話しかけた。 「知るかよぉぉ!」 ゴステロの返事と同時にスターガオガイガーから再度、拳が放たれた。 それもアムロに避けられた。 「君の痛みは殺し合いに参加している恐怖から来ているのではないか?」 「怖くなんかねぇよ!」 ゴステロの自信は自分の機体のパワーから来ていた。 このパワーがあれば自分は優勝出来る。 本気でそう思っているのだ。 (説得は不可能か…。) アムロは心の中でぼやいた。 出会った瞬間から速攻を仕掛けて来た相手である。 頭の中には相手を殺す事しか無いに違いない。 そして一度目をつけた相手はどこまでも追っていきそうな執念深さがある様に思える。 「さっきから蝿みたいにブンブン飛び回りやがって!パワーでねじ伏せてやるぜ!」 ゴステロが叫んで腕を振り回し、アムロのバルキリーを叩き落そうとする。 力任せの動きを読むのはアムロにとって容易い事だった。 「落ちろッ!」 アムロは相手の機体を分析した。 左半身には内部が露出している部分が数多くある。 それも今まで動いたのが奇跡と言っていいぐらいに。 相手の装甲はかなり固い。 なら弱い部分を責めるしか無い。 一斉射撃。 反応弾以外のノーマルミサイル、マイクロミサイルがスターガオガイガーに雨あられと降り注ぐ。 「ふひゃひゃひゃひゃ!そんな事したって痛くも痒くも無いぜぇ!」 余裕で笑っているゴステロの視界が急にグラリと揺れた。 (え…?) ガオガイガーの左足が消失していたのだ。 (ならばッ!) ゴステロは再度右拳でブロウクンファントムを撃とうとした。 が、反応は無い。 故障かと思い今度は右腕を振りかぶった。 待たしても反応は無い。 (まさか…) ゴステロの予想通りスターガオガイガーの右腕は消失していた。 アムロはミサイルの全てを相手の右腕に、ライフルを相手の左足に叩き込んだのだ。 もう立つ事すら出来なくなった相手を見下ろすとアムロはバルキリーをファイターへと変形させた。 「待てぇぇ!」 ゴステロの悲痛な声を無視してアムロはそのままアイビス達への方向へ飛び去って行った。 【アムロ・レイ 搭乗機体:VF-1Jバルキリー(ミリア機) (マクロス7) パイロット状況:良好 機体状況:左腕肘から先を消失、弾薬を9割消費 現在位置:H-2北東部 第一行動方針:シャア達との合流 第二行動方針:首輪の確保 第三行動方針:協力者の探索 第四行動方針:首輪解除のための施設、道具の発見 第五行動方針:核ミサイルの破棄 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している】 【ゴステロ 搭乗機体:スターガオガイガー (勇者王ガオガイガー) パイロット状況:敗北を悔いている 機体状況:両腕と左足消失、左半身に大ダメージ 現在位置:H-2 第一行動方針:アムロを殺す 第二行動方針:エイジ・カミーユ・ゼクス・ユーゼス・ベガを殺す 最終行動方針:生き残り優勝 【初日 19:50】 本編112話 失われた刻を求めて
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/331.html
第167話「獲物の旅」まで 死亡者編 『死亡者名(搭乗機)/殺害者名(搭乗機)』 キャラ辞典より抜粋&コメント なお順番は死亡順 エクセレン=ブロウニング(搭乗機なし)/アインスト=ノイ=レジセイア(搭乗機なし) アインスト=ノイ=レジセイアに最初の見せしめにされ首輪を吹き飛ばされ死亡。 このことによりキョウスケはアインスト達を倒しアルフィミィを解き放ちエクセレンを迎えに行くこと を覚悟する。 メルア=メルナ=メイア(ジム・カスタム)/グ=ランドン・ゴーツ(ラフトクランズ)、流 竜馬(大雷凰) グ=ランドンに機体を串刺しにされ竜馬に機体を爆散されロワ参加者(除くエクセレン)初の死亡者となる。 早々にテニアとの合流を果たすも彼女の目の前で死亡。このことがきっかけでテニアがゲームに 乗ってしまいカティアを殺害、統夜も乗っているので彼女の死は報われない。 グ=ランドン・ゴーツ★(ラフトクランズ)/フェステニア=ミューズ(ベルゲルミル) 竜馬の大雷凰に機体をライジングメテオ・インフェルノで真っ二つにされる。 それでも生存していたがテニアを挑発、そのまま彼女に撃ち殺される。 だが彼の言葉は彼女の心に絶望を植えつける。 ラクス=クライン EVA零号機)/ヒイロ=ユイ(レイダーガンダム) EVA零号機を操ってヒイロを追い詰め、説得しようとするも常識外れの攻撃により零号機を破壊され、死亡。 版権作品初の死亡者となる。似た思考の持ち主であるリリーナとは遭遇できなかった。 木戸 丈太郎(クロスボーン・ガンダムX2)/相羽 シンヤ(搭乗機なし) 知恵と技術でサイコガンダムを撃破するものの、相羽シンヤがテッカマンに変身できるとは見抜けず、 PSYボルテッカにてコクピットブロックごと蒸発させられる。 彼が放送で名を呼ばれてもたいして影響がないことも考えると可哀想な死に様である。 神名 綾人(アルトロンガンダム)/テンカワ=アキト(YF-21) ロジャーとリリーナを奇襲するも、割り込まれたアキトにマーダーとみなされコクピットに拳を 打ち込まれ死亡。だが、彼との戦闘で凰牙のENがなくなったためリリーナの死にも関与している。 カティア=グリニャール(VF22S・Sボーゲル2F)/フェステニア=ミューズ(ベルゲルミル) テニアと再会するも、すでに彼女はゲームに乗っており絞殺される。テッカマンに殺られたキッドを 除けば当ロワで生身で殺られた人、第一号である。なお、友人に殺されるという最後をとげた一番欝な 死に方である。 ジョシュア=ラドクリフ(クインシィ・グランチャー)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム) アイビスと行動中に統夜に御大将を擦り付けられる。そのまま戦闘中にクインシィに邪魔され シャイニングフィンガーを喰らい機体が大破、アイビスと共に逃げるものの既に彼は爆死していた。 なお、彼の死はラキに影響を与えるため彼女の今後が心配である。 リリーナ=ドーリアン(セルブースターヴァルハラ)/相羽 シンヤ(搭乗機なし) 機体をばらばらにされ連れ攫われテッカマンにコックピットの ハッチをこじ開けられ首を跳ね飛ばされる。 おとなしく凰牙にENを供給していればもっと違った展開が待っていたかもしれない。 ギャリソン時田(ガンダムレオパルド・デストロイ)/ガウルン(マスターガンダム) ガウルンと再び交戦、激戦を繰り広げるもガウルンの宗介の愛の前に敗れ去る。 すごい執事だけに序盤でおしい人が逝ってしまったのは残念。 <<第一回目の放送で上記10名の死亡が伝達>> ユウキ=コスモ(ジガンスクード・ドゥロ) /ジョナサン=グレーン(ガンダムF91) ギャリソンの死を悲しみバサラの歌に心を癒されている 最中にジョナサンの奇襲を受ける。機動性の高いF91を倒すため広範囲攻撃の G・サークルブラスターを放とうとするも生きていたバサラがいたため躊躇。 そのままコクピットにヴェスバーを撃ち込まれ蒸発、死亡する。 九鬼 正義(ドラグナー2型カスタム)/バーナード=ワイズマン(ブラックゲッター) ブラックゲッターの強襲を受け、あっさりと撃墜されてしまう。 ラーゼフォン系は全滅、薄氷同盟最初の死者となった。 アスラン=ザラ(ファルゲン・マッフ)/カテジナ=ルース(ラーゼフォン) カテジナに盗られたラーゼフォンと遭遇。 バサラが乗っていると思い込んだまま交戦。だが、ドラグナ-系の力ではデウスエクス・マキナに 一歩及ばずに機体を両断され敗北。最後に思いを親友に託しながら死亡してしまう。 神 隼人(YF-19)/クルツ=ウェーバー(ラーズアングリフ) 同行していたクインシィがエイジに襲いかかり、続いて現れた竜馬も加わり混戦状態に陥る。 その中、クインシィ・ガロードに3人目を探せと言い押し切る形で離脱させた。 さらに竜馬の説得を試みるも失敗。最後はクルツの狙撃で被弾、そのまま地表に墜落死となった。 アルバトロ=ナル=エイジ=アスカ(ガナドゥール)/流 竜馬(大雷鳳) 消えたラキを探している途中でクインシィに襲われる。 途中乱入してきた竜馬によって一度は気絶するも意識を回復。 壊れたフォルテギガスからガナドゥールを分離して、逃走を試みるが追い詰められる。 最後は大雷鳳と正面からぶつかり合い敗れ去った。 ヒイロ=ユイ★★(搭乗機なし)/ベルナルト=モンシア(搭乗機なし) 一度交戦をしたモンシアとG-6基地で再び遭遇する。 モンシアがヘビーアームズを自爆させた結果、機体を失う。 基地の状態を調べ、格納庫へ一応の確認しに行く途中にまたもやモンシアに遭遇。 白兵戦で彼を追い詰めるも自爆に巻き込まれ帰らぬ人となる。 なお彼の死を持って薄氷同盟は全滅となった。 ベルナルト=モンシア★(搭乗機なし)/ヒイロ=ユイ(搭乗機なし) 大破したヘビーアームズを有効利用しヒイロの乗るレイダーを破壊。 しかし、外の様子をうかがいに行く途中に実は生きていたヒイロと遭遇する。 子供と舐めた結果追い詰められて、ヒイロを巻きこんで自爆死する。 孫 光龍(レプラカーン)/キョウスケ=ナンブ(ビルトファルケン(L)) 機体の整備にと立ち寄ったG-6基地でバーニィを発見。これに襲いかかる。 戦闘中、ゼクス・キョウスケが現れて場が複雑化。 そんな中でキョウスケと戦闘となり、念の暴走の果てにオーラコンバーターを貫かれて死亡した。 シャア=アズナブル(核ミサイル)/カテジナ=ルース(ラーゼフォン) アムロとの合流を目指し、F-2補給ポイントで待機中、カテジナと遭遇。 機転を利かせ、一度はカテジナの撃退に成功するもラーゼフォンの長距離狙撃を受けてしまう。 アイビスを逃がし、彗星は地に落ちる。だがその意志は確かに受け継がれていた。 死亡後も、窮地のアムロと共振する、アイビスの悪夢に出てくると大活躍である。 相羽 シンヤ★★(テッカマンエビル)/クルツ=ウェーバー(ラーズアングリフ) ロジャーから受けた痛手を癒すべくD-8にあるコンビニの食糧を根絶やしにする。 続いて機体の奪取を目指し、移動してきていたクルツに戦闘を仕掛ける。 テッカマンの能力を活かし終始優勢に戦闘を進めていたが、最後の最後でクルツの策にかかり死亡。 テッカマンとしての傲りが最大の敗因であったのは間違いない。 ゴステロ(スターガオガイガー)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム) アムロを追いつめるも、ブンドル、ギンガナムに乱入され、勝機を逃してしまう。 そのままギンガナムと戦闘になるが、彼には「勇気」が足りなかった。 純粋な力比べに負け、死亡。 ゼクス=マーキス(メディウス・ロクス)/キョウスケ=ナンブ(ビルトファルケン(L)) キョウスケと共に基地の制圧に成功するも、直後に機体制御をAI1に乗っ取られてしまう。 が、メディウス内部からキョウスケをサポート。 オクスタンライフルに撃ち抜かれ死亡するも、その魂は最後まで気高かった。 カズイ=バスカーク(メディウス・ロクス)/キョウスケ=ナンブ(ビルトファルケン(L)) ゼクスの操縦技術をAI1に学習させ、メディウスの制御を奪う。 圧倒的な力でキョウスケを追いつめるが、最後には人の力に破れることとなる。 オクスタンライフルを撃ち込まれ死亡。 マサキ=アンドー(アルトアイゼン)/ガウルン(マスターガンダム) キラたちと共にダイへと戦闘を仕掛ける。 ガウルンと戦闘になり、ボロボロのアルトアイゼンで善戦するも一歩及ばず、コクピットブロックをもぎ取られ死亡。 彼の持っていた小石がある人物の運命を大きく変えることとなる。 ミスマル=ユリカ(無敵戦艦ダイ)/ガウルン(マスターガンダム) Jアーク組と交戦。地盤を崩すという荒技で戦況を一変させたが、その直後にガウルンによってダイの艦橋は大破。 外に投げ出されアキトと再会を果たすも、マスターガンダムに踏まれ圧死。 彼女の死はアキトに多大な影響を及ぼすことになる。 巴武蔵(RX-78ガンダム)/フェステニア=ミューズ(ベルゲルミル) 戦艦三隻総勢14名が入り乱れる大混戦の中、一度は気を失うもフロスト兄弟・ガウルン相手に健闘する。 だが彼は最も信頼していた仲間テニアの姦計に陥る。彼がテニアの裏切りに気づいた瞬間、彼の生は終わりを告げた。 人が良すぎたのが、彼にとって災いしたのかもしれない。 カテジナ=ルース★★(ラーゼフォン)/紫雲統夜(ヴァイサーガ) 水中での休憩中にキョウスケ・カミーユの二人組に見つかり接触する。 誤った情報を与え穏便に事を運び離脱するが、その離脱中に悲劇は起こった。 同じように水中で休んでいた統夜の不意打ちでラーゼフォンは大破し、彼女は火に包まれる。 それでも生きていたのだが、救助中に潰される最期となった。 クルツ=ウェーバー★★(ラーズアングリフ)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム) ギンガナムと交戦状態に入ったアイビスをフォロー。残弾が少ない中、牽制・狙撃にサポートと戦場を駆け回る。 最後はラキと行動不能に陥ったアイビスを離脱させ、ギンガナム相手にコードATAによる自爆で一人散っていった。 最初から最期まで他人のサポートに奔走するのが、彼の生き様であったといえるだろう。 グラキエース★(ネリー・ブレン)/ギム=ギンガナム(シャイニングガンダム) ギンガナムと交戦中のクルツを見つけ戦闘に割り込む。そしてその戦場に彼女の探し人は存在した。 一時は負の感情に支配されながらもブレンを感じ、ジョシュアを信じ、アイビスとクルツに支えられて彼女は戦い抜く。 しかし、ギンガナムを制しきれずにクルツが自爆。ラキもまたアイビス一人を残して戦地へ赴く。 相打ち覚悟で挑んだ勝負で狙い通り禁止エリアへと跳びギンガナムと共に散っていった。 ギム=ギンガナム★★★★(シャイニングガンダム)/グラキエース(ネリー・ブレン) ブンドルと共に訪れた中央市街地でアイビスに襲われ、そのままクルツ・アイビスとの戦闘状態に入る。 途中さらにラキが加わり苦戦を強いられるも、満足の行く戦いにヒートアップ。テンションが最高潮に達する。 そして、突き上げる衝動のままに二機のブレンを圧倒。ヒメ・ブレンを仕留め、クルツの自爆にも耐え抜いてみせた。 しかし、ラキとの一騎打ちの末、禁止エリアへと追いやられ死んでいく。最後の最後までギンガナムらしい暴れっぷりであったと言えるだろう。 <<第二回目の放送で上記20名(+その他生死不明1名)の死亡が伝達>> ジョナサン=グレーン★(真ゲッター)/紫雲統夜(ヴァイサーガ) ガロードとの合流待ちの間に統夜に見つかり、これに襲われる。 一度は動きを読まれ敗れるも救援に駆けつけたガロードのピンチに復活。真ゲッター2を乗りこなし決死の攻勢に出るも遅すぎた。 既に致命傷を負っていたジョナサンは最後の攻撃に出る。だが命届かず燃え尽き散っていった。 最終目標であるクインシィの生還はガロードに託されたが、それが果たされる日は来るのだろうか。 ベガ(月のローズセラヴィー)/バーナード=ワイズマン(メディウス・ロクス) 第二回放送直後、我を失ったカミーユを心配し気にかけるも罵声を浴びせられることになる。 そのときに受けた言葉に苦悩するもカミーユを人として正しい方向へ導きたいという想いを胸に再度前を向いて立ち上がる。 しかし、その言葉はカミーユに届かずバーニィの仕掛けた攻撃によって基地と共に最期を迎えることとなった。 常に集団全体のことを考え、一人一人を気遣い、板ばさみに会いながらも前を向き続けた彼女はやはり強い母であったのかもしれない。 バーナード=ワイズマン★★(メディウス・ロクス)/カミーユ=ビダン(VF-22S・SボーゲルⅡ) ユーゼスの誘いを蹴りメディウスを強奪した後に基地を崩壊させる攻撃を仕掛ける。 ベガの殺害には成功するも、カミーユ、キョウスケ、アキトの三機と戦闘に。 エース級の実力を持つ三人にじりじりと押され続ける中、ユーゼスの砲撃により生じた隙と油断を突かれ死亡。 「生きて帰りたい」という切実な彼の願いが叶うことはなかった。 余談だが、彼の死亡話が投下されたのはクリスマスシーズンであり、これは原作での彼の死亡時期と一致する。皮肉なものである。 オルバ=フロスト(ディバリウム)/キョウスケ=ナンブ(ゲシュペンストMkⅢ) 第二回放送後、ナデシコと別行動を取りテニアの始末を目論む。 ロジャーとの接触などを経て基地へと辿り着くが、そこで待っていたのはアインストと化したキョウスケだった。 テニアと共にキョウスケと交戦するも、土壇場でテニアに裏切られキョウスケに撃ち貫かれることとなる。 彼の最期の声は、シャギアにどう影響していくのだろうか。 <<第三回目の放送で上記4名の死亡が伝達予定>> 以上、死者の説明を終わりますの。 生存者編 ●小隊(最新エピソード時の場所と時刻)状況コメント ・『生存者名(搭乗機)タイプ分け』備考&一口コメント 自衛協力型(自衛はするが友好的。対マーダー予備軍) 無差別型(見敵必殺・問答無用) 猫被り型(友好的に見えるが、攻撃の機会を狙っている) 策士型(知略戦で漁夫の利狙い。攻撃は最終手段) 対マーダー(マーダーは攻撃。他には協力的) 自衛戦闘型(敵対するなら相手を殺す気あり) 協力暴走型(基本は自衛協力的だが、状況によって暴走してしまう) 平和解決型(攻撃されても話し合いで解決したい) ●アムロ&キラ&アイビス(D-3/二日目9 00) Jアークに集う黄金の精神の持ち主たち。アインスト打倒のために、今は力を蓄える。 アムロ=レイ(ガンダムF91)自衛戦闘型 ガウルンのマスターガンダムと対峙するも、ブンドルの助けもあり無事に戦線を離脱することに成功。 アイビスやカミーユとの合流を目指し探索を開始し、Jアークと遭遇する。 ジョナサンが乗っていたF91の乗り手になっていることを理由にキラに疑惑の念を向けられるも、言葉ではなく行動で、自らの『黄金の精神』を具現。 現在はJアークにて打倒アインストのための準備を着々と進めている。 キラ=ヤマト(Jアーク)対マーダー型 幾度の戦闘と仲間の死、そして自らの間違いを知り一時は混乱の極みに達する。 しかしロジャーやソシエといった仲間たちに支えられ、再び立ち上がることを決意。 アムロとアイビスという信頼できる心強い仲間たちと共に、勇気を胸に前へ進む。 専門であるプログラム分野から首輪の解析にチャレンジしている。 アイビス=ダグラス(ネリー・ブレン) 自衛協力型 クルツやグラキエースと共にギンガナムと死闘を繰り広げる。 仲間の死の上にある自分の生の重みを感じ、立ち止まらずに前へ進み続けることを誓う。 気持ちばかりが先行してしまい具体的な目的を持たなかったが、Jアークと合流しアムロと再会を果たす。 何気に登場回数が最も少ないキャラであったりする。 ●キョウスケ★★★★(G-6/二日目9 30) ――すべての存在を撃ち貫く。 キョウスケ=ナンブ(ゲシュペンストMkⅢ)無差別型 不在のうちに起きた基地の崩壊の原因が自分にあると、因縁に決着をつけるためにメディウスと戦闘。 カミーユたちと共にバーニィを討ったものの、アキトとユーゼスの裏切りにより瀕死の重傷を負ってしまう。 一か八かアキトから没収したカプセルを飲み込むが、致命傷を負ったキョウスケは逆にノイ・レジセイアに身体の支配権を奪われてしまう。 完全に意識を手放す寸前でカミーユに後を託し、アインスト化。基地を訪れたオルバとテニアの二人を圧倒し、オルバを撃ち貫く。 鋼鉄の孤狼が自らを取り戻す時は来るのだろうか? ●テニア(G-3/二日目10:20) 必死に立ち回るも、何時の間にやら四面楚歌。テニアの明日はどっちだ!? フェステニア=ミューズ★★★(ベルゲルミル)猫被り型 Jアークからナデシコへと華麗な転身を見せるも、ナデシコ組の実権を握るフロスト兄弟に危険視される。 基地にてアインスケと戦闘に。オルバを囮にすることで無事に戦線から離脱するも、これが原因でシャギアから狙われることになったことをテニアは知らない。 続いて遭遇したカミーユにも本性を見抜かれ大きな痛手を負ってしまう。 自分で自分の首を絞めているということにテニアは気づいているのだろうか。 ●カミーユ(F-4/二日目10:20) 託されたものは大きい。反発し続ける少年。 カミーユ=ビダン★(VF-22S・SボーゲルⅡ)対マーダー型 ベガの仇打ちのため、これ以上争いを誘う者をのさばらせないため、キョウスケたちと共にメディウスと戦闘。 メディウスは墜とせたが、直後のアキトの不意打ちによりキョウスケが致命傷を負い、後を託されることとなる。 基地から離脱後テニアと遭遇。ユーゼスの推論を基にテニアの本性を看破するも、撃ち逃してしまう。 シャア、ベガ、キョウスケと導いてくれるはずだった大人を失くし、カミーユは神経をすり減らし続ける。 ●シャギア&ガロード&比瑪&バサラ&クインシィ(B-1/二日目10 30) 変化に戸惑う男たち。気絶者が一人はいるというのがナデシコのジンクスなのだろうか?w シャギア=フロスト(ヴァイクラン)自衛戦闘型? 甲児と卵焼き争奪戦を展開したり和室で茶を啜ったりと驚きの変化を見せるシャギア。 だが兄弟の運命を捻じ曲げたニュータイプという幻想には未だに強い敵意を見せる。 オルバの最期の声を聞き、弟を生き返らせるためにマーダーへと転向するか、それともナデシコに残りこのまま進み続けるのか揺れている。 シャギアはまだ気付かない。いつの間にか、甲児や比瑪のことを駒ではなく、仲間と呼んでしまっていることに。 ガロード=ラン(搭乗機体なし)自衛協力型 ジョナサンからクインシィのことを託され、シャギアの乗るナデシコと合流する。 仲間になれというシャギアの誘いを蹴り、シャギアに対するカウンターとしてナデシコと行動を共にすることを決める。 宿敵の変貌に戸惑いを隠せないが、それもまた自分の知らないシャギアの一面だったのではないかと思い始めた。 クインシィが気絶中なこともあり、比瑪との会話で久々にまったりムードを味わっている。 宇都宮比瑪(ナデシコ)平和解決型 甲児がナデシコを離れたため、暫定的なナデシコ操縦士になっている。 戦闘を嫌い、出来る限り話し合いで解決しようと思っている様子。 彼女の優しさはテニア、シャギア、バサラなど多くの人物に影響を与えている。 クインシィとの接触がどのように為されるのか気になるところである。 熱気バサラ(プロトガーランド)平和解決型 ようやく目覚めたバサラだが、声が出ないという異常事態に意気消沈。 だが比瑪の優しさに触れ自分を取り戻す。シャワー室での発声練習のおかげで、少しずつ声を取り戻しつつある。 うっすらと聞いたフロスト兄弟の過激な会話は、オルバが死んだ現在では重要な意味を持つかも知れない。 バサラの歌が争いを止める日は来るのだろうか。 クインシィ=イッサー(真ゲッター)協力暴走型 ガロードと共に生き残ることを選択したクインシィ。 統夜との戦闘でジョナサンを失い、自らもまた気絶状態に。 現在は比瑪の乗るナデシコに保護されており、気絶から覚めたときに一悶着ありそうだ。 ●ロジャー&ソシエ(D-7/二日目10 30) 交渉人とお嬢様の凸凹コンビ。Jアークとナデシコの会合の場に少しでも多くの人間を集めるため動いている。 ロジャー=スミス(騎士鳳牙)自衛せんt……平和解決型 キラからの依頼を受け、ナデシコとの交渉の場を設けるべく動き出す。 オルバ、テニアとの交渉では互いの利を生かす見事な交渉を見せ、スレ住人を大いに沸かせた。 続いてのガウルンとの交渉ではガウルンの本性を見極めることができず情報を渡すこととなる。 疲労もピークに達し、交渉人は一時の休止を取る。 ソシエ=ハイム(搭乗機体なし)自衛協力型 ロジャーがJアークを離れる際ちゃっかりと潜り込み行動を共にする。 予備のギアコマンダーとロジャーの腕時計を巻き上げるあたり抜け目ない。 統夜の奇襲に対して鳳牙で応戦するなどロジャーのフォロー役としても活躍している。 ギアコマンダーを持つ以上、データウェポンとの契約もあり得る話だが……彼女はガトリングボアのお眼鏡にかなうだろうか? ●ガウルン&統夜(D-7/二日目10 30) マーダー師弟コンビ。奇妙な協力関係は統夜の成長を促す。 ガウルン★★★(マスターガンダム)無差別型 各地で争いを巻き起こす火種キャラ。これ以上なくロワを満喫している一人でもある。 アキト、ブンドル、アムロ、統夜、テニアと多くの人物と因縁を作り上げ、しかもその全てを成就させようとしている欲張りさん。 統夜の才能を認め、命を狙ってもいい代わりに協力関係を持つという一風変わった約束を結ぶ。 ロジャーとの接触で新たな情報を得ることに成功し、その欲望を更に肥大化させる。 紫雲統夜★★(ヴァイサーガ)無差別型 揺れ続ける心を定めはじめた新人マーダー。 潜在的な戦闘センスをガウルンに見初められ、師弟関係を結ぶ。 テニアの立ち回りをガウルンから聞き、強い憎しみをテニアへと向ける。 数度の戦闘を経て、着実に力をつけている。 ●ブンドル&甲児(E-6/二日目11 00) アムロとの合流を目指し基地へ移動する二人。 レオナルド=メディチ=ブンドル(サイバスター)自衛協力型 サイバスターを駆り会場からの脱出方法に見当を付け、首輪解除のために行動中。 ナデシコと接触し、甲児と共に基地を目指す。 ユーゼスとの接触を経て首輪の解析情報の一部を得るが、サイバスターに興味を持つユーゼスを警戒。 自分ではサイバスターの全能力を引き出せないため、相応しい操者としてカミーユに興味を抱く。 兜甲児(ストレーガ)自衛協力型 ガロードの代わりにブンドルと同行し基地を目指す。 彼本人には悪気はないのだが、比瑪からの頼みごとをすっぽかしてナデシコを出たりユーゼスとの接触中にナデシコの情報を漏らしたりとうっかりさん。 今まで戦闘面での活躍は少なかった彼だが、ストレーガに乗る今なら元祖スーパーロボット乗りの実力を拝めることだろう。 もう少しナデシコに乗っていれば愛機マジンガーZと出会えていたかも。 ●ユーゼス&アキト(E-7/二日目11 00) 仮面コンビの『共犯者』たち。 ユーゼス=ゴッツォ(メディウス・ロクス)自衛戦闘型 基地の乱戦のさなかアキトと主催者の繋がりを看破し、アキトと協力関係を結ぶ。 メディウスを取り戻し、アキトという駒も手に入れ絶好調。 首輪を解析すべく基地の代わりになる設備を探そうとした矢先、ブンドル達からナデシコの現在位置について聞く。 メディウスの自動修復を待ち休憩中だが、彼が再び動き出したとき物語はさらに加速していくだろう。 テンカワ=アキト★(ブラックゲッター)無差別型 愛するユリカを生き返らせるために優勝を狙う復讐鬼。 ユーゼスとの関係は共犯者。薬の残数という不安材料もユーゼスとAI1の力により解決されそうだ。 アルトアイゼンからブラックゲッターに乗り換え、機体のパワーもアップ。 次の目標は古巣ナデシコ。ユリカが愛した艦を、彼はどんな気持ちで狙うのだろうか。 ●竜馬(???/???) 生死不明。AI1に取り込まれ、ゲッター線に取り込まれ。 流竜馬(搭乗機体なし)無差別型 元の世界に戻り復讐を果たすために戦闘を繰り返すバーサーカー。 体も機体もボロボロの状態で基地に到着し、ベガ、ユーゼスと戦闘を繰り広げる。 しかしメディウスには一歩及ばず、AI1、そしてゲッター線に取り込まれることになる。 ゲッター線が見せるゲッターの世界の中で、竜馬は何を思いどう動くのか。 以上、時系列順に二十名の紹介と状況説明を終わりますの。
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/125.html
極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 ◆960Bruf/Mw 瓦礫の街並みの中、四機の航空機が羽を休めている。 その羽の下、崩れた家屋の残骸に腰をおろしている男がいた。男の名は神隼人という。 その眼は三機のゲットマシンを見ていた。 ――間違いなくゲッターだ。 真ベアー号に乗り込んだときに理解した。コックピットの内装、ゲットマシンの外観こそ知るものと異なってはいたが、首輪が教えてくれた。こいつは―― ――真ゲッター。 ゲッターの後継機としてつくられた機体。早乙女博士の尽力にも関わらず、5年前のあの日起動しなかった機体。それが―― ――なぜ動いている? 早乙女研究所の地下に封印されていたはずだ。 ――いや、それよりも……。あの時、こいつが動いていればムサシは。 噛みしめた奥歯が鳴る。古傷が顔に浮かび上がってきていた。 一つ深呼吸をして心を静める。 ――落ち着け。好都合だ。 あの化け物がどうやってこいつを持ち出したのかは知らんが、好都合だ。 決して動かなかったこいつが何故か順調に稼働している。そして―― 動かした視界に一組の男女が映し出される。 おそらくクインシィを宥め連れ戻すのに苦労したのだろう。ガロードは正座で終わりの見えない説教を受けていた。 ――ゲットマシンを扱えるパイロットがここに二人いる。 あの化け物はただ無作為に人を集め訳じゃないらしい。 翔と剴を見つけた後、どうしても見つけることが出来なかった三人目がここに二人もいる。 となると、当面の目標は三人目を探すことか。 そこでようやく隼人は、助けを求めてチラチラと視線を送ってきているガロードに気づいた。 「クインシィ、そのくらいにしておけ」 少女の意志の強そうな瞳がこちらを向き、鋭い視線と怒気の矛先がかわる。 それをこともなげに受け流し、話し出した。 「俺たちは別々の世界から集められた可能性がある……」 最初に交換した情報の中に各自の世界観が異なることはすでに検討がついていた。 「そ~いうこと。ヘイコン世界に住む者同士ってわけだ」 「並行世界だ」 以前、クインシィと同様の会話をしていたガロードが得意気に相槌をうち、即座にクインシィの訂正が入る。 「それでこれからの話だが、お前たちはこのままゲッターに乗れ。俺もこのままYF-19に乗る」 その言葉に、これまで隼人に対してゲッターという単語を口にしてないクインシィの眉がぴくりと動いた。 「そう警戒するな。あれは元々俺がいた世界で俺が乗っていたものだ。お前たちよりはあれに詳しい」 そして「もっとも肝心なときに動かなかったがな……」とどこか自嘲気味に続ける。 「なら、なぜお前も乗り込まない? 」 「古傷があってな……。だが、そんなことはどうでもいい。それよりひとまず話は中断だ」 『アー、アー、ただいまマイクのテスト中ですの……』 まるで見計らかったかのようなタイミングで、どこらかともなく少女の声が響いてきた。 ――6時間で10人。 それを多いととるか少ないととるかは、人それぞれである。 平時に50人強の集団から6時間で10人の死者が出たと考えれば、それは異常に多いだろう。だが未曾有の災害に巻き込まれたと考えれば、その数は少なかった。 しかし、あの化け物が提示したルール上死者はまだまだ増える。 最終的に1人しか生き残れないのであれば、その犠牲の数はやはり異常だ。 ――1人? 疑問が浮かんだ。 この殺し合いはシステム上必ず1人は生き残るように設定されている。 ――何のために? 自分に科せられた首輪を撫でる。 ただ殺すのが目的ならば、奴らはたやすくやってのけれるはずだ。 最初に集められたときでも、今この瞬間でもだ。 つまりこれは我々を殺すのが目的ではない。ただの娯楽、気まぐれ、余興と言われてしまえばそれまでだが……。可能性としては―― 「選定……もしくは観察か……」 ここに集められる前の記憶――ネオゲッターチームを集めるために自分が出した犠牲者を思い浮かべる。 ――なんてことはない。俺もあの化け物と同類か。 小さく哄笑が漏れた。 「俺について来い。まずはゲッターを合体させるぞ」 「なぜお前にそんなことを命令されなければならない」 立ち上がり歩き出そうとした隼人にクインシィが噛みつく。 「こんなとこで死ぬのはごめんだろ? なら今はくだらんプライドは捨てて俺に従え。ゲッターの扱い方を教えてやる」 視線がぶつかり合ったあと、隼人は背を向けて真ベアー号のほうに歩きだす。 背後では納得がいかないといったふうのクインシィを、ガロードが宥めていた。 痩身長躯の男が真・ジャガー号のコックピットに張り付き、ガロードにあれこれと指示を飛ばしている。 その様子をモニター越しに眺めていた。 ――気に入らない。 神隼人と名乗るその男は、沈着冷静、頭脳明晰、そういった類の人間なのだろう。 そして、おそらくは最低限の冷徹さも兼ね備えている。 物に例えるならばナイフのような男――それが抱いた感想だった。 この先、生き残っていくのには必要な男。それは理解していた。 だが、どうにも気に入らない。イライラする。ようはそりが合わないということなのだろう。 ――くだらないな。 そう思い。気持を落ち着かせる。気持の問題など些細なことでしかない。 「クインシィ、操縦方法は頭に入っているな。ベアー号はオートで発進させる。まずはゲッター1だ。イーグル・ジャガー・ベアーの順で合体しろ。いいな」 隼人から通信が入る。それにほんの一瞬前までの考えを忘れて、彼女は苛立った。 どこか上から物を言うような口調、それが気に入らない。 「黙ってみていろ。私の好きにやらせてもらう」 感情が判断を鈍らせることを下らないと思いつつも、感情的になる自分を御することができない。クインシィはそういう自分に気づいてはいなかった。 赤、白、黄色、三色のゲットマシンが空を飛び、一列に連なる。やがてその間隔は狭まり、合体は三度目で成功した。 「遅い! 時間がかかりすぎだ」 筋はいい。そう思いつつ苦言を飛ばす。クインシィから返事はなかった。 「まぁいい。次はゲッター2だ。ジャガー・ベアー・イーグルの順に……」 そこまでで一度隼人は言葉を区切った。 「神さん? 」 不審に思ったガロードが声をかける。 「ひとまず中止する。南西の方角にお客さんだ」 ビル群の中をゆっくりとこちらに近づいてくる青い巨人の姿が目視できた。 距離から推し量るに、その巨体は真ゲッターと同程度の大きさであろうか。 その足取りの確かさからまずこちらを確認していると見てほぼ間違いなさそうだった。 ひとまずは接触すべきと考え、一歩前に踏み出す。 その瞬間、一陣の風が隼人の横をすり抜けていった。 零コンマ何秒の世界でその赤い風はキロ単位の距離をふいにし、無造作に頭蓋を鷲掴み、大地に叩きつける。 技術もへったくれもないただ力任せの一撃。しかし、掛け値なしの渾身の一撃。 重低音が響き、土煙が柱の如く聳え立つ。 不意を突かれた隼人も、ガロードも、静止は愚か反応さえもできない間の出来事だった。 ラキと出会ったときに相対した相手だ。警戒はしていた。 その時の経験をもとに不意を突かれないだけの距離は取っていた――はずだった。 どろりとした血液が額を伝って流れ落ち、口の中には錆びた鉄の味が広がる。 軽く脳震盪でも起こしたのか、視界がぶれてうまく焦点が合わない。揺蕩う視界に赤い悪魔が映し出されていた。 「………した…」 ガラスを引っ掻いたような耳鳴りがするなか、呟きが聞こえてくる。 「……どこへ隠した。勇をォどこへ隠したアアァァァァアアアアア!!!! 」 聞き返す間もなく呟きは叫びへとかわる。 フォルテギガスの頭蓋が持ち上げられ、今度はビルの壁面に叩きつけられる。 「答えろ! 勇はどこだ? 」 「な、何のことだ? 」 何かが潰れるような鈍い音を響かせてフォルテギガスの頭部が打ちすえられる。 「隠すな! お前は知っているはずだ。勇の……私の弟の行方を!! 」 意味が分からなかった。 勇という知り合いはいなかった。グラドスにも、地球にも、ここにもだ。 にもかかわらずこの少女は自分が勇を知ってると思い込んでいる。 まったく意味が分からなかった。 ただ一つわかるのは――この少女がどこか普通ではないということだけだった。 赤い悪鬼が巨人の頭蓋を鷲掴みにしていた。 いや既に頭の形を保っていないそれは、頭蓋と呼ぶにはふさわしくないかもしれない。 言ってみれば潰れた鉄屑だった。 それが大地に、ビルの壁面に、ところ構わず無造作に叩きつけられている。 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も 永遠にループするその光景を現すなら、『凄惨』の二字がぴったりであっただろう。 「ガロード、何が起こっている! 状況を説明しろ!! 」 その狂気の惨劇を眼の前に、隼人が吠える。 「俺にだってわかんないよ。こんなお姉さんは初めてなんだ!! 」 返ってきた返答に苛立つ。 「ともかく。クインシィを落ちつかせろ」 吐き捨てるように言い、モニターに視界を戻した。 巨人が逃れようと鷲掴みにする腕を両の手で掴んでいる。しかし、既に力はない。そんな感じだった。 ――いや、あれは。 「クインシィ、離れろ! 」 隼人が叫ぶのとほぼ同時に、フォルテギガスの胸部にある四つのハッチが十字に開かれ、閃光が放たれた。 立ち込めた爆煙を裂いて東西に赤と青――二機の巨人が弾けとび、数棟のビルが巻きこまれて瓦解する。 ――くそっ! まさかあんな方法で相殺されるなんて。 逃げられないように腕を掴み放った起死回生の一手――フォルテギガスのギガブラスター。 それはゲッターの腹部から放たれたゲッタービームに相殺され、二機は弾けとんだ。 「レイ、損傷を……」 そこまで言いかけて居ないことを思い出し、機体を立て直す。 立ち上がったフォルテギガスの中、視界が回る。腹の底から何かが込み上げてきて思わず吐き出す。出てきたものは赤かった。 あれだけ絶え間なくコックピット内部で揺れに翻弄され続けていたのだ。無理もない。 揺れる視界、いかれた平衡感覚、遠距離戦は不可。逃げ切ることも難しい。 ――どうにかして接近戦に持ち込むしかない。 特殊自律型兵器フィガ、それを射出して距離を詰める。そう決めたときに予想外の衝撃がエイジを襲う。 強き巨人の名を冠する50m超の巨体が地に埋没し、エイジの意識はとんだ。 首のないその風貌が死を司る首なしの騎士――デュラハンを連想させる機体が、強き巨人を足蹴にたたずんでいる。 爆発が一つ起こり、近場に一つの機体が吹き飛ばされて来た。 即座に駆け寄り、蹴り倒し、踏み潰した。そこには容赦も慈悲もない。 生きる為に他人を蹴落とす。今の彼にとっては至極当然の行為だった。 「ちっ、さすがにでかいだけあって硬え」 踏み砕くつもりで潰したはずの巨人の背にはヒビが入っていたが、砕けてはいない。 そこに踵の裏で圧力をかける。 装甲の外板が悲鳴をあげ、四方を持ち上げつつ剥がれていく。圧迫された内部の機器が火花を散らし、黒いオイルが血の如く飛び散った。 その時、立ち込める土煙を裂いて赤い悪鬼が姿を現した。 横薙ぎにはらわれる大鎌。 咄嗟のダッキング。風切り音が頭――否、首の直上をすり抜けていった。 そのまま懐に潜り込み、振り上げられる拳。 金属同士がぶつかり合う音が響き―― ――大鎌の柄と拳が接触した。 「なっ!? 貴様は誰だ! 」 「俺の知らないゲッターだと!? 」 互いの言葉が交錯する。押し合う拳と大鎌。 「その声、竜馬か! 」 「……!? 」 割り込んだ声に誘発され生じたわずかな隙。それを見逃さずクインシィは力を緩め、拳を受け流す。 前のめりに崩れる大雷凰。上段に大きく振り上げられる大鎌。 次の瞬間、『轟』と呻りをあげて振り下ろされた大鎌は―― ――大雷凰の数センチ上でピタリと静止した。 大雷凰の腕が大鎌の柄をがっちりと掴んでいる。 「てめえ……、隼人かああぁぁぁああああ!!! 」 強引に大鎌の柄でゲッターの顎をかちあげる。 ふわりと浮かび上がるゲッター。そのまま流れるように繰り出された大雷凰の回し蹴りが―― ――ゲッターの脇腹に食い込み、その巨体が弾け飛ぶ。 「プラズマビュート! 奴を逃すな!! 」 まだ終わりではない。発せられたのは青白く輝くプラズマの荒縄。 捕えられるゲッター。強引に引き寄せられ、一度広がった両者の距離が急速に縮まる。 「調子にぃ……のるなああぁぁぁぁぁぁああああ!!!! 」 ゲッターバトルウィングが展開されプラズマビュートが断ち切られる。 肩口から斧槍――ゲッタートマホークを取り出し、速度を落とすことなく――否、むしろ加速しつつゲッターが大雷凰に迫る。 動じることなく竜馬も大鎌――ゲッターサイトを構え、迎え撃つ。 「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!! 」 「隼人おおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!! 」 ぶつかり合う互いの気迫。交錯する斧槍と大鎌。入れ替わる両者の位置。 音をたててゲッターの装甲に亀裂が奔った。 互いに向きなおり、再び対峙したその時―― 「落ち着け、二人とも!! 」 ――静止が入った。 大雷凰と真ゲッター。その二つの大型機のちょうど中間に一つの小型機が割り込んでいた。 「リョウ、どういうつもりだ? お前もあの化け物の企てに乗った口か?」 その小型機から送られてくる通信モニターに隼人が映っている。 ――ちっ……。ゲッターに乗ってたのが隼人、てめえじゃないとわな……。 先入観からかゲッターに乗っているのは隼人。そう思いこんだのは間違いだった。 「俺はなぁ、てめえと早乙女のジジイに引導を渡せりゃ、この殺し合いも化け物もどうだっていい」 モニター越しに隼人を睨みつけ言い放つ。 「どういうことだ? 何故、早乙女博士をお前が狙う! 」 「とぼけるな、隼人! 」 「答えになってないぞ、竜馬!! 」 噛み合わない会話の往復。隼人の顔に困惑した表情が浮かぶ。 「いつまでとぼける気だ! 三年前のあの日、てめえが早乙女のジジイを殺し、俺に罪を着せて逃げた!!そのせいで俺はなぁ、隼人!! 永久刑務所で地獄を見たんだ!!! 」 今にも飛びかかりそうな、隠そうともしない剥き出しの憎悪、それが隼人に向けられていた。 「何のことだ? 何を言っている? 」 「うるせぇ! 俺はここでお前を殺し、後ろのゲッターを手に入れて、ジジイに引導を渡しに行く。ただそれだけだ!! 」 吐き捨てるように口にされたその一言、それに反応した者がいた。 「できるものならやってみろ!! 」 YF-19を跳び越え、ゲッターが大雷凰に差し迫る。 「ひっこんでいろ、クインシィ! 」 隼人の言をまるっきり無視してゲッターは駆ける。 クインシィにしてみれば、勇の手がかりを目の前にして邪魔をされたのだ。 彼女の性格を考えれば止まるはずはなかった。 その様子に苛立ちつつ奥歯を噛みしめ、指示を飛ばす。 「ガロード、オープンゲットしろ! 」 「へっ!? な、なんで? 」 突然ふられたガロードが素っ頓狂な声を挙げた。 「無駄口を叩くな! ゲッター2だ!! 」 既にゲッターと大雷凰の間の距離は幾許もない。 ゲッターの背中越しに大雷凰が構え、そして踏み込み、大鎌が振るわれる。 「りょ、了解! 」 「待て、ガロード! 」 クインシィの静止は一歩間に合わず。ゲッターは分離した。 振るわれた大鎌の脇を三機のゲットマシンがすり抜け、大雷凰の背後でゲッター2へと姿を変える。 ゲッター最大の弱点、合体の瞬間。それを狙って竜馬は追撃をかけようとして―― ――やめた。 考えを読んだのか、竜馬の目の前に隼人が立ちふさがっている。 「ガロード、ここから脱出して三人目を探せ。ゲッターの本当の力を引き出さなければ、あの化け物には太刀打ち出来ん!! 」 「わ、わかった」 隼人の勢いに押される形でゲッターは地中に潜り離脱していく。 その中でガロードは、怖ろしいほど目を吊り上げているクインシィを確認して、泣きたい気分に駆られていた。 照準モニターの向こうで首のない機体と小さな小型機の目まぐるしく動き回っている。 「ちっ……こう動き回られちゃ当たりゃあしないぜ」 群がるビル群、ところ構わず立てられた広告塔、人目を惹くための派手な看板。そういったものに姿を紛れ込ましている赤い機体の中、クルツはぼやいていた。 目標は小型機。 離脱前に存在を確認した赤鬼には、前に直撃させた砲撃の損傷は見当たらなかった。ゆえに同程度の大きさを誇る今回の大型機にも効果は薄いと、かなりいいかげんに予測。 よって標的は小型機に絞っていた。もっとも当てるだけなら、大型機のほうが遙かに楽なのだが。 だが、少なくともあの大型機に致命的なダメージを与えるには―― 視線を動かし、地に伏したままぴくりとも動かないフォルテギガスを見る。 ――どうしてもエイジが必要であった。 「ったくあの馬鹿。肝心なときにお寝んねしやがって……だいたい生きてんのか? 生きてんなら返事くらいしやがれってんだ」 通信はすでに何度も試みていた。しかし、のびているだけなのか、はたまた死んでるのか、依然として応答はなかった。 そもそもだ。そもそも作戦目的がエイジの離脱なのだ。 奴らの勝敗が決してフォルテギガスにとどめを刺す前に、小型機を撃墜し大型機をひきつける。そのための行動だ。 仮にエイジがすでに死んでいるのだとしたら、やろうとしていることに大した意味はなかった。 強いてあげるならば敵機の撃墜だが、ほったらかしにしておいても勝手に潰し合ってくれる。となると後に残るのはリスクだけであった。 「ええい。あと3回……いや5回だ!後10回通信しても応答がなかったら離脱してやる!!」 そう言って無為に時間は過ぎて行っていた。 横一文字にはらわれた大鎌をくぐり抜け、YF-19が大雷凰に肉薄する。 ヒビの入った腹部を確認し、マイクロミサイルの発射管を開いた瞬間、急制動をかけて機体の勢いを殺す。 鼻先を膝がすり抜けていった。続けて振り下ろされるのは肘。 反射的にかわせないと判断した隼人はピンポイントバリアを機体上部に展開。バリアごと弾き飛ばされて一旦距離を置いた。 「勘は鈍ってないようだな、竜馬」 「ずいぶん苦しそうじゃねぇか、隼人」 息が荒く、呼吸が落ちつかない。古傷は確実に体を蝕んでいる。 だが、この男に泣き言を言うつもりは全くなかった。 「フ……気のせいだ。それよりもリョウ、落ち着いて聞け。 俺は神隼人だが、お前の知っている神隼人ではない。お前もおそらく俺の知っている流竜馬ではない」 わずかに竜馬に反応がでる。 「……どういうことだ? 隼人、俺にわかるように説明しろ! 」 食いついてきた――隼人の内心の思いであった。 「平行世界。おそらく俺とお前は極めて似通った世界からあの化け物に集められたのだろう」 「何を言い出すかと思えば」 竜馬が鼻で笑う。 「コロニー、MS、NT、オルファン、アンチボディー、グランチャー、どれも俺には聞き覚えのない言葉だ。お前にもないだろう。真ゲッターに乗っていた二人の世界の言葉だ」 反応を見つつ、言葉を紡ぐ。竜馬の説得をあきらめたわけではなかった。 「真ゲッター、それがあのゲッターの名前か? 」 「そうだ。そして、俺の知っている竜馬は真ゲッターを知っている。お前は知らない。それが理由だ。根拠としちゃ薄いがな……」 全てを語り終え、流れる静寂。これが最後の説得であった。その静寂を―― 「クク……ハハ……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 」 ――竜馬のどこか狂った笑い声が打ち消す。 「俺とてめえが違う世界の人間? それがどうした。だとしたら、俺はここでてめえに引導を渡し、他の集められた奴を全員ぶっ殺して、俺の世界のジジイとてめえに引導を渡す。 それだけだ。やることはかわらねぇ」 その言葉を受けて、隼人は―― 「そうか。俺もここでお前に生き残る理由を譲ってやるわけにはいかん」 ――竜馬の説得を諦めた。 おあつらえ向きに二機が動きを止めた。狙撃を行うなら今がチャンスだった。 だが、依然としてエイジと連絡は取れない。撃てば奴らは間違いなくこっちに気づく。 撃つべきか、撃たぬべきか、どうする? どうする? 思考が渦を巻き袋小路に追いやられる。 その時、耳元に雑音が届く。通信機の先で何かが身じろぐ気配を感じた。 「エイジ! エイジ、無事か? 」 はじけたように通信機に齧りつき叫んだ。 見上げた視界に、ぼんやりと天井がうつっていた。見慣れないコックピットに一瞬ここはどこなのかと考える。 「痛っ! 」 次の瞬間、体中に針の筵にくるまれているかのような痛みが奔って、意識は急速に覚醒していった。 「エイジ! エイジ、無事か? 」 通信機から聞き覚えのある声が流れてくる。体中に奔る痛みのせいか、こいつは今の今まで何をしていた――そういう感じの怒りが込み上げてきて。 「怒鳴らなくても聞こえている! 今まで何してたんだ? 遅い!! 」 怒鳴り散らした。 「ほぉ~、お言葉だがな。今の今まで呑気に気絶してた奴に言われる筋合いはねぇ。大体てめえがなぁ、不用意に近寄っていくのがわり~んだ! 」 そうして始まった口喧嘩は、暫くの周囲の状況をほったらかしに繰り広げられた後、『今はそれどころではない』ということで一応の和解が結ばれた。 「機体は動くか? 」 「接続部がやられたのか、フォルテギガスとしての運用は不可能。だが、分離すればたいして問題はない」 機体の各部の損傷チェックを行いながらエイジが返す。 「わかった。俺は小型機を狙う。そっちは大型機を頼む。隙は俺がつくるからうまくやってくれ」 「了解した」 「それと一撃当てたら成功・失敗に関わらず離脱しろ。援護は一回きりで俺も離脱する。誰かさんのせいで補給する暇もなかったんだ」 ラーズアングリフのFソリッドカノンの統弾数は8発。すでに今までに二度使用しているので残弾は6発。クルツからすればあまりここで消費はしたくなかった。 「十分だ。離脱後は僕はビルに紛れつつ西の壁目指す」 「俺は北の壁で目視を遮った後、C-8の市街地を目指す。お互い命があったらまた会おう。それじゃ、始めるぞ」 赤い機体がタイミングをはかりつつ折り畳み式の砲身を展開する。 強き巨人の中、息を潜めつつ分離の手順を簡略化できるように、エイジはコンソールに向かい合った。 冷静に状況を分析する。 敵は共に癖を知りつくした難敵が一機。 古傷の影響で自機のスペックはフルに引き出せず。体が機体の速度に耐えきれない以上、離脱も戦闘も現実的ではない。 その中で、足掻けることと言えば、体の状態を無視しての離脱。もしくは――ー撃に賭けた撃破。 共に現実的ではないながらその二つしか思い浮かばなかった。 神隼人はリアリストである。ゆえに他の相手なら逃げることを選んだであろう。相手が流竜馬であるからこそ隼人は―― ――ー撃に賭けることを選んだ。 YF-19の右腕にピンポイントバリアが収束されていく。 狙うのは胸部装甲の凹み、コックピットの可能性の高いその一点。 そこに限界まで収束、圧縮させたピンポイントバリアパンチを叩きこむ。 普段と比べ段違いに小さく収束されていったピンポイントバリアはやがて通常のナックルカバーの形状から逸脱し、針の先ほどの点となる。 その様子をモニター越しに、クルツはタイミングをはかる。浮遊する小型機のブースターの燐光。大きく、小さく、不規則に瞬くその光に呼吸を合わせる。待っているのは突撃の瞬間。 先ほどまでの戦闘から予測される小型機の速力。それをもとに狙いを定める。 口の中は渇き、汗が頬を伝っていった。トリガーがやけに重い。外すわけにはいかなかった。 小型機のブースターが唸りをあげ燐光がひときわ大きく輝く。 ――今だ。 そう思った時にはトリガーを引いていた。撃ったのは二発。 モニターに視線が釘付けになる。成功したのか、失敗したのか。 小型機は機体がゆらぎ―― ――しかし、何事もなかったかのように突撃した。 眉間にしわがより、顔に苦渋の表情が浮かぶ。 ――くそっ!失敗だ。 「エイジ、敵をひきつける。まだ動くな! 」 そう叫んだ時にはフォルテギガスがすでに分離を始めていた。 「あの馬鹿……ちくしょう! 」 苛立ちを隠しもせずにクルツは赤い機体の足を戦場へと向けた。 大雷凰とすれ違ったYF-19の周辺に細かく砕かれた金属片が散らばっている。 ――ちっ、外した。 あの突然の砲撃、それはYF-19に抵触していた。その結果、狙いのずれたピンポイントバリアパンチは脇腹を抉るに留まった。 そして現在、コントロールを失い機体は地表へと流れていっている。 体が限界だった。せまいコックピットの中で丸くなってうずくまる。 ――情けねぇ……。 地表が迫ってくる。 ――泣き言を漏らしている暇もないか……。 体を起し、機体を立て直そうとしたその時、機体を反転させた竜馬のゲッターサイトが唸りを上げて迫っていた。 金属音が響き―― ――いつの間にか迫っていたガナドゥールがファルシオンセイバーごと弾かれて瓦礫に叩きつけられた。 その外部の様子に気を取られる間もなく機体を立て直そうと抗う。 次の瞬間、風斬り音が耳元に響き、YF-19は爆発を起こした。 目の前の突然爆発を起こしたYF-19が黒煙をあげて流れていき、やがて地表に激突して粉微塵に吹き飛んだ。 「隼人おおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!! 」 その光景を目の前に竜馬はただ叫ぶ。何が起こったかわからなかった。 「へっ! てめえで殺そうとしておいて、何が悲しい!! 」 レーダーの有効範囲ギリギリの距離に一つの反応が浮かび、同時に通信が入る。 その瞬間、怒りの矛先はそこに向けられ―― 「貴様かああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!! 」 ――注意が全てそこに注がれた。 同時に響く重低音。大きな揺れがコックピットを支配し、大雷凰はエッジブラスターの直撃を受けて地に倒れる。 流れる視界のなか離脱していく青い機体が目に入った。 「邪魔をするなああぁぁぁぁあああああ!!! 」 瞬間、血走った目で体勢を立て直すと同時に突撃。瞬く間に大雷凰とガナドゥールの彼我距離が狭まる。 「をおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!! 」 背後からの蹴りが一閃。そのままの体勢でさらに一閃。そして、そこを足場に軌道を変えた大雷凰が空を駆けた。 前のめりに吹き飛ばされるガナドゥールの中、エイジもこのままでは逃げ切れないと悟る。 ――やるしかない! 「V-MAX起動!! 」 前のめりの体制のまま、各部ブースターがフルブースト。機体そのものがさながら火の鳥の如く赤い炎に包まれた。 空を駆ける大雷凰と火の鳥が真っ向から迫る。そして―― 「砕け散れえええええーーーっ!!! 」 「ヒートダイブッ! 」 ――轟音が響き、一つの爆発が起きた。 立ち込める煙を裂いて当たり負けしたガナドゥールが大地に突き刺さる。 そして、それを追って大雷凰がなおも駆ける。上空から踏み砕くように繰り出された蹴りは、ガナドゥールの頭部を砕いた。 続けて足を持ち上げ、二撃目を繰り出そうとして、飛び退く。装甲を擦過して抜けていった砲弾が瓦礫を巻きあげた。 北に赤い機体が見える。うっとおしい。 心底そう思った竜馬は衝動に駆られるまま、それを目掛けて駆けていった。 クルツ=ウェーバーは機体を北東へと全速で走らせていった。背後に迫ってくるのは例の大型機。 そうとうに距離は開けてあったが徐々に詰めてきているのがわかった。 ――くそっ! 野郎のケツを持つのなんて、ごめんだってのによ。 注意をこっちに引き付けたのだ。エイジが生きていれば助かるだろう。生きていればだが。 ともかく今は全速で光の壁を抜けて逃げることだった。あれを抜ければ一度相手はこちらを見失う。そうすればあとは物陰に身を隠しつつH-8の市街地へ紛れ込む。 ――それで撒けるはずだ。 そう思いつつ機体を走らせること十数分後、クルツは無事に壁を越えてほっと一息をついた。 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:憤慨、やや疲労 機体状態:ダメージ蓄積、 現在位置:B-3 第一行動方針:ガロードを問い詰める。場合によってはお仕置き 第二行動方針:勇の撃破(ユウはネリーブレンに乗っていると思っている) 第三行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ガロード・ラン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-3 第一行動方針:お姉さんを宥める 第二行動方針:ゲッターのパイロットを探す 最終行動方針:ティファの元に生還】 【神 隼人 搭乗機体:YF-19(マクロスプラス) パイロット状況:死亡 機体状況:大破(木端微塵) 現在位置:B-1】 【流 竜馬 搭乗機体:大雷鳳(バンプレストオリジナル) パイロット状態:怒り、衰弱 機体状態:装甲表面に多数の微細な傷、頭部喪失、右肩外部装甲損壊 、腹部装甲にヒビ、胸部装甲に凹み 現在位置:C-1 北西部 第一行動方針:クルツを追う 第二行動方針:サーチアンドデストロイ 最終行動方針:ゲームで勝つ 備考:ゲッターサイト(大鎌)を所持】 【アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ 搭乗機体:ガナドゥール(スーパーロボット大戦D) パイロット状況:死亡 機体状況:中破(頭部全壊、全体に多大な損傷) 現在位置:B-1 備考:ストレーガは損傷軽微で放置】 【クルツ・ウェーバー 搭乗機体:ラーズアングリフ(スーパーロボット大戦A) パイロット状況:冷静、脇腹がちょっと痛い 機体状況:Fソリッドカノン残り二発、ファランクスミサイル1/3消費 現在位置:C-8 市街地南部 第一行動方針:竜馬を撒く 第二行動方針:ラキの探索 第三行動方針:ゲームをぶち壊す 第四行動方針:駄目なら皆殺し 最終行動方針:ゲームから脱出】 【残り39人】 【初日 19 40】 BACK NEXT 青い翼、白い羽根 投下順 例え死者は喜ばずとも 休息 時系列順 ゲスト集いて宴は始まる BACK NEXT アンチボディー ―半機半生の機体― クインシィ 我が道を走る人々 アンチボディー ―半機半生の機体― ガロード 我が道を走る人々 アンチボディー ―半機半生の機体― 隼人 血に飢えた獣達の晩餐 竜馬 Take a shot Time Over ―私の中のあなたにさよならを― エイジ Time Over ―私の中のあなたにさよならを― クルツ Take a shot
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/105.html
オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 ◆9NAb4urvjA 俺達は当初の予定通りにH-2に留まり他の参加者が接近するのを待っていた。 「なあアムロ」 この横にいる核ミサイルに乗った男はシャア・アズナブル。自分の生涯のライバルであり、敵から 味方へ、味方から敵へ、敵から味方へと変わり身の早い油断のならない男だ。 「どうしたシャア」 「暇だ」 「……索敵すらしない役立たずはもう助けてやらんぞ」 「冗談だ。ところで、もしここが奴らの言っていた禁止エリアになったらどうする?」 たしかに、奴らが監視等をしているとすれば自分達が動かないことに業を煮やして移動させようと するだろう。だが、そこまで考え俺は自惚れていると気付く。 この状況では単独で行動したとしても奴らを出し抜くどころか勝ち抜くことすらできやしない。まして 足手まといを抱えている状況では尚更だ………こいつにはMS-05Bでもいいから早く核ミサイル以外 の機体に乗ってもらいたいところだ。 「そうなったらH-1かG-1に移動するまでだ」 そうしていると唐突に北東の方に何かが現れたのを感じた。 「シャア?」 「貴様も感じたか。だがこれはいったい?」 「カミーユともララァとも違う。強化人間にしては穏やか過ぎる」 なんだ、この唐突さと妙な感覚は? 「とりあえずお前は上空で待っていろ。俺が接触する」 「何度も同じ台詞を言わせる気か?私を置いていこうとしたら追い縋って貴様ごと自爆すると言ったはずだ」 チッ!折角こいつと離れるチャンスなのに。 「こら、露骨に嫌そうな顔をするな。さっさと先に行け」 「まあ、慌てるなよ。とりあえず放送を聞いてから行くことにするぞ」 放送では10人もの人間が呼ばれたことに驚きはしたが知っている名前はいなかった。だが、奴らが言った 『ご褒美』の『死者の復活』『世界の改変』等とは大きくでたものだ。しかしそんな話を信じてやる程には 子供ではないし、そんな理由でゲームに乗ってやるつもりもない。 例えその話が本当で誰かを生き返らせることが可能としてもだ。 「奴らの話をどう思う?」 「あいにくと興味はないな。お前こそ馬鹿な考えは起こすなよ」 「フッ、アクシズの連邦軍を騙し撃ちする計画を立てたのは私だぞ。奴らの話を信じると思うのかね?」 どうだか、貴様を信じるぐらいならプチモビに乗ってサイコガンダムに喧嘩を売る方がマシだと 思うがな。とりあえず、思考を元に戻す。 一番気になるのは奴らの目的だ。ゲームを実行して優勝者を出すことが目的ではなくあくまで それから得られる結果が重要なはずだ。でなければこんなことをしでかす理由がないだろう。 …考えていたところで埒があかないな。 とりあえずは北東を調べることにし放送の内容をメモしてからシャアを後ろに付け北東に向かう。 「…赤いが大破しているな。残念だ」 しばらくすると大破したと思われる赤い機体とその前にへたり込む人影、そして 俺達に妙な感覚を感じさせるピンクの機体を見つけた。 とりあえず、殺し合いに乗った可能性が決して低くないとは思い、機体を変形させてある程度距離を保ち ガンポットを構え外部音声のスイッチを入れる。 「こちらは………」 アムロ・レイだ、と言いかけて止める。この名前は有名すぎて味方も多いが敵はそれ以上に多い。 とりあえず、偽名を使うことにする。 「………ハヤト・コバヤシだ。そちらと話し合いをしたい」 「私はエドワウ・マスだ」 こいつも俺の意図を読んだのか、偽名を使う。 すると、ピンク色の機体が動いた。パイロットが乗っているのかと思い身構えているとピンク色の機体は 人影を庇うかのように両手を広げ立ちふさがった。 相手を完全に信用したわけではないが、殺し合いに乗っているわけではなさそうだと思いガンポッドを下ろす。 「俺達は殺し合いに乗ってはいない、とりあえず話し合おう」 すると、ピンクの機体がその人影をまるで壊れ物を扱うかのように両手ですく上げこちらの方に近づいてきた。 敵意がまったく感じられず、目の前に来るまで武器を構える発想さえできなかった。そのおかげかじっくりと 相手を観察できた。 人影の方はへそを出しているよく分からない服装をしており赤毛の若い女性であることが確認できる。 最近の若い人間のセンスはよく分からんな。 機体のほうはこの機とほぼ同サイズであり、武装らしき物が見受けられず内臓火器等も見受けられない、 ピンクのカラーリングの所為か穏やかな印象を受ける、なにより先刻の機体ともMSとも違い無機質的である が同時に有機質的な外見が特徴である。 そして、開いているコックピットのような場所には誰も乗っていなかった。 だが、ガンタンクのような構造ならばコクピットが二箇所あるので別の所にパイロットがいるのだろう。 「……………………………………………………」 女は俯いたままこちらを見ようとはせず、なんの反応も返してはこない。 この落ち込み様からすると、先刻の放送で家族か恋人が死んだかもしれないと仮定し、 このピンクの機体のパイロットは俺達に慰めさせようという魂胆かもしれないと考える。 こいつの相手よりはマシとはいえ、女性を慰めるということは俺にとっては苦手な分野である。 とりあえず、シャアの方が女の扱いにはたぶんうまいはずなので接触通信で奴に話しかけるように促す。 『お前が話しかけろ』 『アムロよ。複数の女性の股をかけているくせに女が苦手とかいうのは罪だぞ』 『いいからさっさとしろ!また振り回されたいのか!というか、今の発言はどういうことなんだ!?』 だが奴は俺の疑問に答えるもことなく、ミサイルから掌に移り女性に話しかける。 「何があったのかね?」 「……」 「黙っていては話すらできんよ」 「……」 シャアは仕方がないという表情を浮かべは彼女の肩を揺らす。 すると、ようやく女がこちらに気付き驚愕の表情を浮かべ奴の腕を振り払い後ずさる、 そして掌から落っこちた。 「「な!?」」 慌てて操縦桿を動かすがマニピュレーターと彼女の間にある距離は絶望的なまでに開いている。 奴も腕を伸ばそうとするが僅かに届かない。 「間に合わないか!?」 だが、ピンクの手が地面に落ちる彼女を間一髪で掴んだ。どうやら一安心のようだ。 「いや~!!離して!離してよ!!」 「落ち着くんだ!俺達は君の敵じゃない!」 だが彼女は俺達の言葉を聞き入れず、ピンクの手に掴まれたまま暴れ続ける。 そうして彼女が暴れ疲れてからやっと会話ができる状態となった。 ピンクの機体が奴を右手に乗せ、女性を左手で掴んだままの状態で。 「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」 「落ち着いて聞いてくれ。俺はハヤト・コバヤシ、こいつはエドワウ・マス、ゲームには乗っていない」 「…信用できない」 「私達がゲームに乗っていたらもう既に戦闘状態になっているはずだ」 「…あんたらの作戦なんじゃないの?足手纏いがいるし」 「ならばこそハヤトは乗っていないと考えるべきではないかね?」 「……」 そのまま黙り込む、こちらを信用する気は毛頭ないらしい。 どうしたものかと思っていると彼女が口を開いた。 「…ねえ、あんたら殺し合いに乗ってないんだよねぇ?」 「ああ、そうだ」 「それなら、まずあんたら二人とも機体から降りてみなよ」 「それは出来ない。そちらの機体にパイロットが乗っている以上こちらとしても用心したい」 そういうと、彼女はキョトンという表情を浮かべ、自分を掴んでいる腕を見た。 「あれ、なんで?…ジョシュア、ジョシュアなんでしょ?生きているんでしょ、出てきてよ」 女がコクピットを除き込む。 「…いない」 「コクピットがもう一つあるのではないのかね?」 「一つしかないよ」 「なら、人工知能でも付いているんじゃないのか?先刻から動いていたぞ」 心あたりがあったのかハッとした表情を彼女が浮かべる。 とはいえ、俺の知っている技術ではこのサイズだと先刻の様な動きはできず、 彼女がニュータイプ等ならばサイコミュ等の遠隔操作で動かす手段もあるがとてもそうとは思えない。 無論この異常な状況下では俺の知識が当てになる保障もないが。 「とりあえず、AIが搭載されているのなら君のことを離すように言ってみればどうかね?」 「…離してよブレン」 彼女がそう言うとピンクの機体がゆっくりと彼女を奴の目の前に降ろす。 「…かしこいな、それに優しい」 「ジョシュアもブレンは優しいて言ってた」 「ハヤト、私の勘ではどうやらこの機体は生きているようだ」 「どうやらそうらしいな」 機体の動作とこの妙な感覚からしてそう考えるしかない。信じ難いが。 「…おっさん達、軍人なの?」 彼女が奴のパイロットスーツを見ながらそう問いかけてくる。 もっとも、それはここに連れて来られたさいに奴に支給されたものだが。 「おっさんはひどいな。こう見えても30前なのだよ、軍人が嫌いなのかい?」 嘘こけ、お前は34だろうが。そう突っ込みたくなったがとりあえず我慢する。 「別に…」 「これから、どうするのかね?よければ私達と共にくるかい?」 「…あんた達はラキって女の人を知らない?」 「いや、私達はゲームに乗ったと思われる男と遠距離攻撃を仕掛けてきた赤い機体しか知らない」 それと、知り合いにはそんな名前の女などいないという言葉を心の中で呟く。 あのドームでは奴も俺もプレッシャーに圧倒されて他のことに気遣うことなどできなかったので他に 知っている人物がいるかどうかすら分からなかったしな。 「そのラキという女性は先刻の放送で呼ばれたジョシュアという人物の知り合いかね?」 「……あんた達に答えてやるつもりはない」 「もしそうなら私達と共にくるべきだ。君一人ではこの状況で見つけるには少々辛かろう」 「足手纏いはごめんだよ」 たしかに、お人好しでもなければ今のこいつと行動を共にしたいとは思わないだろうな。 「フッ。たしかに今の私が足手纏いである事は認めよう。だが、私と彼は地球圏で一番有名な パイロットこと、シャア・アズナブルとアムロ・レイなのだよ」 「……おい。俺が偽名を使った意味を考えていないのか?」 だが、こいつは俺の呟きなど聞こうともせずにそのまま喋り続ける。 「欺いたことは謝ろう。だが、今地球圏を騒がしている二人が目の前に現われて共に手を取り合って いると言っても信じられずに余計な警戒心を持たれるだろうと思いあえて偽名を使わせて貰った。 君が宇宙の民か地球の民であってもこの状況を打破するために我々と協力しては 貰えないだろうか?」 あいかわらずこのようなアジが得意な奴である。 「知らない」 「は?」 だが、彼女の言葉は俺達の想定していないものだった。 「…地球やコロニーでもニュース等でやっているだろう。ネオ・ジオンが5thを落としたとか」 「ねおじおんとふぃふすって何?」 「…ジオンは?一年戦争は?赤い彗星は?連邦の白いヤツは?ガンダムは?」 「他は分からないけど連邦なら知ってるよ。地球連邦政府は常識でしょ」 おかしい。彼女は知らなさ過ぎる。仮に嘘をついていたとしても何のメリットもないし、下手な嘘をついた ところで相手に警戒心を持たせるだけでこの状況ではマイナス要因になるだけだ。 そう考えていると、頭の中にとある言葉が浮かんだ。 『パラレル・ワールド』 SFではよく使われる設定で、世界は複数に渡って存在するといった解釈だ。 この解釈を用いれば彼女が俺達を知らないことや、このピンクの機体や先刻の赤い機体、今俺の乗るZタイプ とは違う可変機の存在が納得できる。 普段なら一笑にするところだがこの状況では信じるしかないだろう。 「どうやらお互いに知らない情報があるな。とりあえずは情報交換をしないかね」 彼女は奴の言葉に少し逡巡してから口を開く。 「…いいよ。そのかわりにジョシュアを埋めるのを手伝うのと、放送の内容を聞かせてよ」 そうして、俺が機体に乗ったまま奴と彼女が情報交換をすることになった。 無論、奴が大法螺を言ってもすぐ分かるよう収音マイクのボリュームを上げておくのは忘れない。 【アムロ・レイ 搭乗機体:VF-1Jバルキリー(ミリア機)(マクロス7) パイロット状況:良好 機体状況:ガンポッド、ホーミングミサイル共に若干消費 現在位置:H-2北東部 第一行動方針:とりあえず情報交換 第二行動方針:首輪を確保する 第三行動方針:協力者の探索 第四行動方針:首輪を解析できる施設、道具の発見 第五行動方針:核ミサイルの破棄 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している】 【シャア・アズナブル 搭乗機体?:核ミサイル(スーパーロボット大戦α外伝) パイロット状況:良好 機体状況:真っピンク 現在位置:H-2北東部 第一行動方針:とりあえず情報交換 第二行動方針:核ミサイルをダシにアムロに身の安全を確保させる 第三行動方針:仲間を増やし自分(と核ミサイル)を守らせる 第四行動方針:強力な機体の入手 第五行動方針:首輪を確保する 第六行動方針:缶切りを手に入れる 最終行動方針:ゲームからの脱出 備考:核ミサイルの荷物収納箱からブライト、ガトー、アズラエルのマスクを発見、所持。 ボイスチェンジャー機能付き。H-2の何処かにシャアの吐瀉物あり】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:良好 機体状況:ブレンバー等武装未所持。機体は表面に微細な傷。バイタルジャンプによってEN1/4減少。 現在位置:H-2北東部 第一行動方針:とりあえず情報交換 第二行動方針:ジョシュアの遺体を埋めたい 最終行動方針:考えていない 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません。放送をまともに聴いていない。 H-2北東部にクインシィ・グランチャー が大破(上半身が消失している)しており 右手のソードエクステンションは無事なまま放置されている】 【時刻:18 30】 BACK NEXT 煮えきらぬ者 投下順 殺し合い Time Over ―私の中のあなたにさよならを― 時系列順 青い翼、白い羽根 BACK NEXT ふりまわされる人、ふりまわす人 アムロ 赤と流星、白と勇者王 ふりまわされる人、ふりまわす人 シャア 赤と流星、白と勇者王 アンチボディー ―半機半生の機体― アイビス 赤と流星、白と勇者王
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/221.html
巴 武蔵 氏名 巴 武蔵 性別 男 出典 ゲッターロボ! 人称 一人称:俺 二人称:お前、あんた 三人称:あいつ 特殊技能 大雪山おろし…上方に敵を回転させ投げ飛ばす、武蔵の得意技。人の頭を握りつぶしたり、人をかみ殺したりする猿人(人間が退化してゴリラっぽくなったもの)を相手に互角以上に戦い、そいつらを従えてリーダーになる程度には強い。 性格 やや単純だが優しい熱血漢。激情家の節もある。 備考 柔道部主将。その頑丈さは特筆すべきものがあり、頭を思いっきり木の棒(直径5cm程度?)で殴られてもけろっとしてたり、腹を貫かれてもゲッターで出撃したほどである。
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/308.html
(2006/6頃) 初代スーパーロボット大戦 各ステージ攻略データ8 ここでは初代スパロボの各ステージのデータを掲載します。 第13話 さいしゅうけっせん マップ表説明 陸地(平地、森、山など) 海 進入不可能地域 ▲ タワー ★ 敵本拠地 ◆ 敵増援出現位置 第13話 さいしゅうけっせん だい13わ 「さいしゅうけっせん」 ギルギルガンを たおすほうほうが わかった! やつに きゅうしゅう しきれないほどの エネルギーを あたえればよいのだ! すでにヒーローのこうげきで やつのちからは おちている! こんどこそ とどめをさせ!! 第13話マップ 注)この面の★は最終ボスのギルギルガンがいる地点であり、地形としての「本拠地」はこの面には存在しません。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 1 2 ★ 3 4 5 ▲ ▲ 6 7 8 9 10 11 ◆ 12 13 14 15 16 17 ▲ ▲ 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 敵ユニット(15体+5体) ユニット名 レベル 適正 移動力 HP こうげき すばやさ ぼうぎょ カリスマ ちゅうぎ 機体数 備考 クインマンサ 8 りく 8 60 35 31 28 60 0 2体 エルメス 8 そら 6 52 29 38 19 82 0 2体 キュベレイ 10 りく 7 58 33 39 33 96 0 2体 サイコガンダム 9 りく 5 69 37 26 27 70 0 2体 ビグザム 9 りく 8 79 37 25 28 50 0 1体 ゲーマルク 10 りく 6 57 33 36 23 58 0 5体 ギルギルガン[3] 9 そら 8 92 54 47 41 99 0 1体 BOSS!! サイコガンダム 9 りく 5 69 37 26 27 70 0 5体 3EP、4EP、5EP、6EP、7EP増援 攻略 いよいよ最終面ですが、はっきり言って物凄く辛いです。 個人的には、これまでの全てのスパロボの中で、正攻法でクリアするのが最も難しい最終面ではないかとすら思います。 まず、一見して分かる通り、全ての敵が説得不可能のボス格ユニットばかりです。説得で敵を減らすというこれまでの戦法は通用しません。 そしてその敵もキュベレイ、クインマンサ、サイコガンダム、ビグザムとこれまで苦しめられてきたメンバーが勢ぞろい。 過酷な戦闘に耐えるため、とにかく一刻も早くマップ中央の2つのタワーを占領。左右両面から迫り来る敵を迎え撃ちます。 尚、詳細は後述しますが、この面ではボスとの戦闘は持久戦が効果的なので、囮をおいてのボス強襲電撃作戦は考えない方がいいです。 自軍で最も強力な味方2体をタワー上に陣取らせて対処し、他の味方は遠距離攻撃でのサポートに徹しましょう。 一通り敵を倒したら、完全回復したのちマップ左上へ。 (といっても、この「一通り敵を倒す」というのが大変厳しい条件で、この面で敗北するとすれば大概このザコ戦の最中です。 戦力不足だと思ったら大人しく裏技に頼るのがいいでしょう。) まずはギルギルガン護衛部隊であるゲーマルク5体を端から順に相手にします。 複数のゲーマルクの射程に入らないようにしながら1体ずつじっくり倒していきましょう。 ゲーマルクを倒したら、最後はいよいよ大ボス・ギルギルガンとの決戦です。 このギルギルガンは全パラメータが最高値の最大の強敵。 すばやさ47で攻撃は当たらないわ、こうげき54で2発もくらえば大概の味方は撃墜されるわ、とにかくとんでもない敵です。 ただ、最大の僥倖として、冒頭の注でも書いたとおり、このギルギルガンは地形「本拠地」の上に乗っているわけではありません。 そのためぼうぎょの値以上にダメージが減少することもないし、更に重要な点としてHPが回復しません。 ですので、一撃攻撃をヒットさせたらすぐに逃亡し、タワーでHPを回復し、再度攻撃・・・という手順を繰り返せば安全確実に倒せます。 したがって、先ほども書きましたが、この面最大の難関は説得不可能なボス格のザコの群れを如何に始末するかです。 ここさえ凌げばゲーマルク&ギルギルガンは何とかなるはずなので、諦めずにトライしてみて下さい。 エンディング ギルギルガンは こなみじんに ふきとんだ・・・ さすがのギルギルガンも じぶんの きゅうしゅうのうりょくの げんかいをこえたエネルギーに ふきとばされたのだ ギルギルガンの しとともに かいでんぱもやみ ふたたび このほしにも へいわがもどった だが・・・ いつかまた だい2 だい3の ギルギルガンが あらわれないとも かぎらないのだ たたかえ! スーパーロボット!! せかいに しんのへいわがおとずれる そのひまで!! 攻略情報(旧)に戻る
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/145.html
謀 ―tabakari― ◆7vhi1CrLM6 獣が低く唸るような空気の震える音を耳にして、ゆっくりと起き上がる。 瞼が泥のように重い。だが、そのまま無視して寝続けるというわけにもいかない。 袖をまくって時計の銀盤を確かめる。 何の変哲もないただの安時計。しかし、軍人にとっての必需品であり、唯一ここに持ち込めた所持品だった。 目を細めて眺めた針は、深夜0時をわずかに越えたところを指していた。 ――少し遅れたか。 立ち上がり、ジャンパーを羽織って、格納庫を出る。 空気が冷たい。それは体の芯に染みこんで来て、寝起きの頭を起こすには都合が良かった。 遠いところで火が灯っている。基地を囲むように広がっている森林が燃えているのだ。 最初は西の方が燃えていたが、今は消えている。そのかわりに南北の森林が火事になっていた。 おそらくはこの数時間をかけて火の手が回りこんできたのだろう。そして、やがては東の森に火が灯る。 そういった明かりに晒された夜空は、やけに明るかった。 そこに三つのシルエットが浮かんでいる。 ローズセラヴィーの大きい影とメリクリウスの小さい影、それに航空機が一つ。 アルトの姿が見えないのが気になったが、一先ずは格納庫に引き返して、ファルケンを起動させた。 これでレーダーに反応があるはずだ。居所を示したつもりだった。 格納庫の一角に間借りしている事務所のような建物に入った。奥にデスク。手前には小さなテーブルとその両側にソファ。 右手前にユーゼス、その奥にキョウスケ。その向かいに自分。三人が次々と腰掛けていく。 部屋の中は真っ暗で埃っぽい。電気が点かないのだ。 スイッチをパチパチと切り替えていたベガが諦めて、隣に座った。 『電力が通っていないようだ』とキョウスケが軽く説明を添える。 そして、沈黙。空気が重い。押しつぶされるように頭が下がっていき、顔が俯く。 誰も彼もが気づいている。頭数が二つ足りない。そのことが指し示す意味を―― 嫌な予感は基地を見たときからしていた。荒れ果てた状態、散乱する瓦礫の山、機体の破片。 それでもメディウス・ロクスの残骸は見当たらなかった。だから大丈夫だと必死に振り払ってきた考え。 どこで間違ったのだろう? ゼクスたちと二手に分かれ、マサキを探した――それが間違いだったのだろうか? 「では、話してもらおうか。ここで何があったのかをな」 ユーゼスの声にハッとして顔を上げる。 相変わらず感情の篭らない冷たい声。 それは感情を押し殺しているからなのだろうか? それとも感情というものを持ち合わせていないのだろうか? どちらとも判別はつかなかった。 「いいだろう。基地に着いたところから話を始める」 そして、話し始めた男。その男の声もまた感情の在り所の分かりにくい声だった。 「殺しただと!!」 キョウスケの話が終盤に差し掛かり、ゼクス=マーキスとカズイ=バスカーク、二人の死に触れたとき、カミーユは立ち上がり叫んだ。 顔面は蒼白。しかし、視線は強く、責め立てるように目の前の男を睨みつけている。 視線を受けつつも、キョウスケは短く淡々と肯定の意を示した。 「そうだ」 「ゼクスさんとカズイをか!?」 「そうだ、俺が殺した」 「何故だ!!」 キョウスケの胸倉に掴み、今にも噛み付かんばかりの勢いでカミーユは叫ぶ。 その様子からは、ぶつけずにはいられない激情が渦巻いているのが見て取れる程である。 「基地を確保しなければならなかった。損傷の少ない状態でそれを実行するためには仕方がなかった。 奴もそれを望んでいた」 「嘘だ!! そうやって汚い大人は自分の都合のいいように解釈しようとする。 分からないのか? あんたにとっては仕方のないことでも、殺された側からしたらそれで終わりなんだぞ!!」 「言い訳をするつもりはない。俺を罵って気が済むのならそうしろ。だが――」 カミーユの腕を振り払い。逆に下からキョウスケが睨み返す。声には険しさが込められていた。 その威嚇と警戒の入り混じった態度は、狼が毛並みを逆立て低く唸っている様子に似ている。 「これだけは言っておく。奴は先を見極め、自らの命と基地を天秤にかけた上で、死を選んだ。 お前の言うように死んだらそれで終わりだろうと、死を怖れる奴ではなかった」 「そうやってすぐに自分の行いを正当化しようとする。便利ですよね、死人は決して喋らないのですから」 「何を言おうと事実は変わらん」 「でもあなたはその事実を変えようともしなかった。違いますか?」 「好きに受け取れ」 睨み合い。互いの視線が鋭くぶつかる。 その様子からはカミーユのみならず、キョウスケからも苛立ちが見て取れた。 「やめなさいっ!!!」 突然の怒声が割って入った。大人が子供叱るようなそんな大声だった。 「ここでいがみ合ったところで、死んだ人たちが生き返るわけでもない。何も変わらないわ。 カミーユ、ここであなたたちがいがみ合うことをゼクス達が喜ぶと思う? あなたが行動を共にした彼はそういう人だった?」 「それは……」 カミーユが言いよどみ、下を俯く。 「キョウスケ中尉、彼があなたを残したのはここで無駄に時間を潰すためではないでしょう」 「……その通りだ」 一度鋭く睨み返した後、ふっと体の力を抜いて、キョウスケは返事を返した。 「ならば話を続けろ、キョウスケ=ナンブ」 「……いいだろう」 「カミーユも座りなさい」 拗ねた様子を見せながらカミーユも再び席に着く。 ――くだらんな。 話を再開したキョウスケを脇目にユーゼスは思う、この一連の流れは実にくだらないと。 しかしながら、キョウスケ=ナンブの観察という点においては大いに役に立った。 最初に「俺が殺した」と言い放った淡々とした口調。その後のカミーユとのやり取りでみせた苛立った様子。 表面上は冷静さを失わずに保っているように見えても、その実、心の中では自分の行いに納得し切れていない。 だからこそ、カミーユの指摘に苛立ちを隠しきれなかったのだ、とユーゼスは判断する。 つまりは―― ――こいつも所詮、感情を制御しきれない人間か。 とは言え、表面上冷静を装えるだけ、カミーユよりマシな類ではある。方向性は違えどベガに近いのかもしれない。 キョウスケの話が終わる。思考を練りながらであっても、その話の内容は十分に頭に入っていた。 重要なのは基地に動力が通っていないことと周辺に無数の機体が朽ち果てていることぐらいだ。 それらを念頭に今度はユーゼスが口を開く。 「では次の動きだが、中尉はG-6の補給ポイントに向かってもらう。 ベガは中尉の誘導と護衛。補給ポイントは把握しているな?」 そこで一度言葉を区切り、テーブルに紙を広げて『首輪』という文字を綴った。 「補給後は北部にある二機のチェック。使えると思ったものは残骸でも構わん。持って来い。 南部の四機は私が行う。カミーユ、VF-22を借りるぞ。 カミーユはエネルギーをメリクリウスから基地に供給できるようにしておいてくれ。大規模なものは必要ない。 基地の一部機能の電力を賄える。それくらいのものでいい。それくらい出来るな?」 カミーユが頷くのを確認する。 「では一時間後に再集合だ。解散」 立ち上がり、各自がばらばらに事務所から出て行く。そのとき、後ろから声をかけられた。 「何の用かな、中尉」 「ユーゼス、一つ聞かせろ。アルトはどうした?」 仮面の奥底の目を細め、クッと喉元で笑いを噛み殺す。そして、あえて厭味に返事を返す。 「ああ、あれなら代わりを見つけたので棄ててきた。ゴミのように朽ち果てた屑鉄など、何の役にも立たないからな」 一瞬、目の前の男を取巻く空気がざわめく。その反応を愉しみつつ、言葉を投げかける。 「どうかしたのかね?」 「いや……なんでもない」 平静を装ってはいるが苦味を含んだ声。 ――決まりだな。 感情を内に込め、本心を語りたがらないタイプ。そう見て、ほぼ間違いはないだろう。 手駒としてはカミーユよりいくらか使いやすい。 「では中尉、一時間後にな」 そう言い残すと、ユーゼスは背中を向けて歩き出した。 一時間後、再び顔を揃えた四者は同じ格納庫の隅の事務所で顔を会わせた。 座る位置は前回と異なりユーゼスの正面にキョウスケ。その隣にベガ。そして、ベガ正面にカミーユとなっている。 「――の内、メディウスと虫型の機体は大破。原型を留めている二機も、一機はコックピットを潰され、もう一機は動力をやられている。 生存者は全機体ともなしだ」 ユーゼスが自身が見て来た内容を告げ、続けてカミーユがメリクリウスの動力で基地の一部を復旧したことを伝えた。 そして、最後にキョウスケとベガが補給ポイントが破壊されていたことと北部の機体の状態を説明する。 「つまりは目立った収穫はなしか……。他に何か言っておくべきことは?」 ゆっくりと満座を見渡す。反応は何もない。 「ならば私の話を聞いてもらおうか……」 悠然とした態度で言い、テーブルの上に二つの物を投げ出した。 それはガラスの表面をくるくると回転しながら滑り、中央でその動きを止めた。 キョウスケ、カミーユ、ベガ、三者の視線がそこに注がれる。その様を満足気に眺め、指先で自らの首輪を指し示しながらユーゼスは口を開く。 「こいつとその残骸と思われるものだ」 「どこでこれを?」 「完全な形で残っているほうに関してはここまでの道中で手に入れた。これはベガとカミーユも知っている。 安心しろ。人を殺して手に入れたものではない」 一瞬、カミーユの表情が曇るのが見えた。だがそのことを気にも留めずにユーゼスは続ける。 「こっちの残骸は虫型の機体の残骸から回収してきた。中尉、君が仕留めたという機体だな。 ここで一つ聞いておきたいことがある。中尉、他でもない君にだ」 キョウスケが視線を上げる。視線が合う。真っ直ぐにこちらを見据えた目。良い目だ。 視線をテーブルに落とす。つられてキョウスケの視線も下がるのが分かった。 「これと――」 指先で山火事の中回収した首輪を指し示す。 「これと――」 今しがた回収したばかりの残骸を指差す。 「――それ」 指先をゆっくりと持ち上げていき、向かいに座るキョウスケの喉元に突きつけた。 「全て形状が異なる。これとその他が異なるのはまだ理解できる。 だが、拾ってきた二つの形状が違う理由がいまいち分からない。何か思い当たる節はないか?」 しばしの沈黙。三者の視線が痛いほどキョウスケに集中する。 肌に浮いた汗が玉となって頬を伝わり、顎から滴り落ちる頃になったとき、キョウスケは重々しく、そして苦々しく口を開いた。 「俺は科学者ではない。専門的なことは何も分からん。が、こういう出来事なら以前にあった」 そうして語り始めた彼の話は、シャトル事故から始まり、見せしめとなったエクセレンという女性の説明を経て、彼女がアインストに憑かれた事件へと向かう。 そして、話は彼女を取り戻す為に異形のヴァイスリッターに付けられた赤い宝玉を砕いたことに触れた。同時に砕いた瞬間、ヴァイスの姿が元に戻ったことにも。 「つまりはその赤い宝玉が何らかの作用を施し、通常の機体を変異させていたということか?」 「細かい話は分からん。俺に言えるのはヴァイスの額の赤い玉を砕いたら元に戻ったということだけだ。ただ……」 「ただ?」 「ただ同じ部隊の奴が念のようなものがそこに集まっていると言っていた」 「受信機のようなものというわけか……可能性はあるな」 そう可能性はある。この首輪にも赤い宝玉は埋め込まれている。 しかしだ。残骸の方の宝玉こそ壊れているものの、この拾った首輪には宝玉は付いたままだ。 つまりは砕かれていないにもかかわらず形状が異なっているということだ。この違いは何だ? ――悩んだところで始まらんか……。 あくまで現状では可能性の一つが示されたというに過ぎない。キョウスケ=ナンブはアドバイザーとしての価値を十分に見せた。 後は自分が調べ、判断をすれば良い。そのためには首輪のサンプルが足りない。一つしかないサンプルを砕くのは、リスクが大きすぎる。 一つ大きな溜息。思考をまとめる。 現状で優先すべき事項は二つ。手に入れた首輪の解析と新たなサンプルの入手。 その為に必要なのは、基地の見積もりと必要な設備の復旧。それに疲弊したファルケンの補給といったところか。 「……ふむ。こうして考え込んでいても仕方があるまい。 まずは動くことだ。中尉、G-8の補給ポイントに急行して補給を行ってくれ。護衛はカミーユ」 「ユーゼス!!」 ハッと顔を上げたベガが制止をかけて来る。それを無視して言葉を続ける。 「私は基地内の設備を見繕う。ベガ、君は基地の警護だ」 「ユーゼス、何故カミーユを。私が変わります」 しかし、ベガが食下がる。 おそらくは、一時間前のキョウスケとカミーユの状態から気を使ってのことなのだろう。 これはそういう女だ。 だからこそ押さえとして必要なのだが、ここでの口出しは論外だ。 「ファルケンは足の早い機体だ。カミーユのVF-22以外では迅速性を損ない、返って中尉を危険に晒すことになる」 「でしたら、私がVF-22かファルケンで」 「可変機に最も慣れているのはカミーユだ。ファルケンも馬鹿げた設定のお陰で中尉以外の者では満足に扱うことはできん。 それとも――」 ここでユーゼスは矛先をベガからカミーユに変える。 この場合、このままベガを諭し続けるよりは、カミーユのプライドを刺激するほうが効果的だった。 だからこそ、皮肉を込めてユーゼスはカミーユに問いかける。 「君が保護者に守られていなければ何もできない、というのなら話は別だがね、カミーユ。 なに、君もまだ両親が恋しい年頃だ。もしそうなら気兼ねなく言ってくれたまえ」 「結構ですよ。中尉の護衛くらい僕一人で十分です」 「ならば何も問題はない。本人が出来ると言っているのだ。違うか、ベガ」 グッとベガが押し黙る。 当然だ。キョウスケとカミーユ、二人の関係を危惧して言っているなどと、本人達を目の前にして言える女ではない。 だから、これで十分だった。 「中尉、一つ聞かせていただこう。先の話の彼女に植え付けられたアインスト細胞とか言うものは、死体にもなんらかの影響を及ぼすものか?」 「いや……わからないが、エクセレンは死ぬ寸前に助けられた。だが、まだ死んではいなかったはずだが……どうした?」 「いや、なんでもない。では解散だ……そうそう、中尉。道中にこれも取ってきて貰おうか」 そう言って、ユーゼスは自らの首輪を指し示し、笑う。 「できれば新鮮なやつが良い」 【ベガ 搭乗機体:月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー) パイロット状態:良好(ユーゼスを信頼) 機体状態:良好 現在位置:G-6基地 第一行動方針:G-6基地の警護 第二行動方針:首輪の解析 第三行動方針:マサキの捜索 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出 備考:月の子は必要に迫られるまで使用しません 備考:アインストに関する情報を手に入れました】 【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・SボーゲルⅡ(マクロス7) パイロット状況:良好、マサキを心配 機体状況:良好、反応弾残弾なし 現在位置:G-6基地 第一行動方針:キョウスケの護衛でG-8補給ポイントへ向かう 第二行動方針:マサキの捜索 第三行動方針:味方を集める 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊 備考:ベガに対してはある程度心を開きかけています】 【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2) パイロット状況:頭部に軽い裂傷、左肩に軽い打撲 機体状況:胸部装甲に大きなヒビ、機体全体に無数の傷(戦闘に異常なし) 背面ブースター軽微の損傷(戦闘に異常なし)、背面右上右下の翼に大きな歪み EN60%、スプリットミサイル残弾ゼロ、オクスタンライフル残弾B2発W1発 現在位置:G-6基地 第一行動方針:G-8で補給を行う 第二行動方針:首輪の入手 第三行動方針:ネゴシエイターと接触する 第四行動方針:信頼できる仲間を集める 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?) 備考:アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】 暗い階段を仮面の男が一人下っていく。その隠された表情は笑っていた。 最後に彼がキョウスケ=ナンブにかけた言葉。そこには一つの含みを持たせていた。 仲違いを見せたカミーユを同行させたのもその為だ。 持たせた含みの意味は――カミーユを殺せ。 だが、これは別に成っても成らなくても構わない。 成ればサンプルが一つ手に入るし、成らなかったところで現状が変わるわけではない。 焦点はこの僅かな含みにキョウスケ=ナンブが気づくのかどうか。 そして、気づいたならどう動くか。従うのか、気づかぬ振りを振舞うのか、それとも逃がすのか。 ――全ては余興だ。 クッと篭った笑い声が響く。 意外にも、この殺し合いを楽しみ始めている自分にユーゼスは気づいた。 他者を盤上の駒のように操る。その行為は理屈ぬきに面白い。 唯一つ気に入らないのは、自身も盤上の駒の一つにされているということだけ。 ――まぁ、いい。 階段を下りきったところで、左に曲がり通路を進んだ。 格納庫の端末から引き出した見取り図によればこの先にあるのは基地の発電施設。 その扉を開けつつユーゼスは呟く。 「まぁ、いい。私も新たな手駒を手にした。 私が駒ではなく指し手だと知ることになるのもそう遠くないだろう」 一度解散して再び集合するまでの一時間の間に、ユーゼスが新たに手に入れた手札は三つ。 一つは既にキョウスケらに見せた首輪の残骸。残骸とはいえ、六割がたが残っているそれは内部構造把握に大いに役立つ。 そして、二つ目は―― 眼前の発電施設を抱き込むかのように横たわる一体の大型機を見上げる。 今は休止状態にあるメディウス・ロクス――その特徴をユーゼスは把握するのは簡単だった。操縦席に座る。ただそれだけの行為で情報が伝わってくるのだから。 そしてそれはメディウス・ロクスに限ったことではない。ブラックゲッターからも情報を既に引き出している。 進化を促すゲッター線、そして学習した情報を元に進化するAI1。 ――このAI1に私が分析したあの異能の化け物の情報を流し、取り込めば、その先は。 「ククク……ハハハハハハハハハハ!!!!!」 込み上げて来る愉悦を押さえきれずに笑う。ただひたすらに大声で。 後ろで何かが動いたような音がした。 「ここは……?」 「クク……ようやくのお目覚めかな」 そこには手にした三枚目のカード――バーナード=ワイズマンの姿があった。 支給品の入っていた袋の紐で、後ろ手に柱に縛り付けられたこの青年の価値はまだわからない。 役に立つようであれば使えば良い。何の役にも立たない屑カードなら、首輪に変わる。ただそれだけの存在だった。 【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メリクリウス(新機動戦記ガンダムW) パイロット状態:良好 機体状態:良好 現在位置:G-6基地地下発電所 第一行動方針:バーナード=ワイズマンの見極め 第二行動方針:AI1の育成 第三行動方針:首輪の解析・解除 第四行動方針:サイバスターとの接触 第五行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る 備考1:アインストに関する情報を手に入れました 備考2:首輪を手に入れました(DG細胞感染済み) 備考3:首輪の残骸を手に入れました(六割程度)】 【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争) 搭乗機体:なし パイロット状況:頭部に軽い傷(応急処置済み)、後ろ手で柱に縛りつけられている 現在位置:G-6基地地下発電所 機体状態: 第一行動方針:??? 最終行動方針:優勝する】 【二日目1 20】 BACK NEXT Unlucky Color 投下順 ・――言葉には力を与える能がある 私は人ではない 時系列順 愛を取り戻せ BACK NEXT 未知との遭遇 ベガ 『未知』と『道』 未知との遭遇 カミーユ 心、千々に乱れて 火消しと狼 キョウスケ 心、千々に乱れて 未知との遭遇 ユーゼス 『未知』と『道』 獅子身中の虫 バーニィ 『未知』と『道』
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/286.html
キラ ◆vQm.UvVUE. どこからともなく殺し合いの場に似つかわしくない声が聞こえてきた。 『アー、アー、ただいまマイクのテスト中ですの。…こほん…最初の定時連絡の時間となったので放送を 始めますの。まずは死んでしまった人たちの報告からですの…』 …エクセレン=ブロウニング …メルア=メルナ=メイア …グ=ランドン・ゴーツ …ラクス=クライン 気絶したジョナサンをつれて、 なんとか補給ポイントに辿り着き一息ついたキラに待っていたのは信じたくない現実だった。 ラクス=クライン、彼がよく知る少女。 恋人、そう言える関係だったかもしれない少女。 無論、考えられる事ではあった。 こんなところで死んでいい人じゃなかった。 彼女はここでは明らかに無力だ。 最初に会った人間がもしもゲームに乗っていたなら、彼女は格好の的だっただろう。 分かっていたはずだった。 乗らない方もいますのでやる気を出してもらうために ご褒美のことを説明いたしますの。ご褒美は、死んでしまった方を生き返らすことから世界の改変まで 望むがままですの。なので、みなさんちゃきちゃき頑張って欲しいですの』 「え?」 今の放送はなんと言ったか。 死んでしまった者を生き返らせる。世界の改変? ラクスを、そしてフレイを思い出す。 もしも自分が優勝したのなら・・・・・・ ラクスやフレイを生き返らせ・・・そして彼女達に戦争の無い平和な世界を見せてあげられる。 彼女達の父親だって生き返らせてあげられる、ついでにトールも。 「・・・・・・でも」 だからといって、自分がこのゲームに乗ってラクスのような力のない人達を殺して、 それでラクスが生き返っても彼女は喜ぶだろうか。 いや、大丈夫だ、自分が優勝したらここで死んだ人達も生き返らせればいい。 そして、争いや犯罪の無い平和な世界を作るんだ! 気絶しているジョナサンを横目に見る。 今なら簡単に・・・ そう思ったが止めた。 流石にここでたった一人で最後まで生き残るのは不可能だろう。 幸い、ジョナサンは気絶していてこの優勝商品を知らない。 だったら最後まで付き合い、最後の最後で不意をつけばいい。 大丈夫だ、すぐに生き返らせられる。 そうだ、先程闘った、あのもう一つの戦艦も利用できるかもしれない。 「ラクス、待っていてね、僕がすぐに生き返らせてあげるから」 キラは気付かない、自分の思考がラクスの死によって狂っている事を。 その証拠に彼はラクスの死に涙を流す事も悲しむ事もしてないのだから。 【キラ・ヤマト 搭乗機体:ガンダムF-91( 機動戦士ガンダムF-91) パイロット状態:良好 機体状態:良好 現在位置:C-5 第一行動方針:ジョナサンの信用を得る 第二行動方針:なるべく使えそうな駒は残し、危険そうなのは排除したい 最終行動方針:勝ち残り、皆を生き返らせ平和な世界を作る】 【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー) パイロット状態:気絶中 機体状態:キングジェイダーへの変形は不可、左舷損傷軽微 現在位置:C-5 第一行動方針:クインシィの捜索 第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする 最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)】 本編86話 キラ
https://w.atwiki.jp/atenza/pages/313.html
【作品名】スーパーロボット大戦Z 【ジャンル】ゲーム 【共通設定・世界観】 世界観は無限の平行世界と、ある事象に生じる可能性分岐により発生する新たな世界の多元+α 太極:多元宇宙の全てを司る意思 源理の力(オリジン・ロー)もこれに属する力だと思われる 亜空間:この空間内だとバルディオスの移動速度は無限速になる(設定) なお、テンプレメンバーは亜空間内の戦闘でバルディオス移動に反応できたり攻撃を避けれる奴と同等以上の反応速度 オーバースキル:超能力のようなもの時間停止や読心能力など使用者によって異なる スパロボZのマス計算は最大ユニットの惑星サイズのゴーマ、一マス12000kmで計算 共通テンプレ:ソルグラヴィオンは惑星破壊可能な攻撃力で、他のテンプレメンバーもそれと同等の威力の攻撃力(効果範囲も惑星サイズ) オーバーデビルの攻撃速度は無限速反応でも避けない速度 オーバーデビルはあらゆる物を停止させるオーバーフリーズが効かない 【名前】オーバーデビル 【属性】意思を持つオーバーマン 【大きさ】50mほど 【攻撃力】オーバーフリーズ:詳細は特殊能力 【防御力】惑星破壊の4倍には耐えられる 【素早さ】反応及び戦闘速度は無限速 移動速度は約マッハ4075 【特殊能力】宇宙空間戦闘可能 オーバースキル オーバーフリーズ:物質や精神、成長や進化、ブラックホールまで有形無形問わずあらゆる物を停止させる能力 常時半径半径60000kmに展開し任意で半径72000kmの範囲攻撃も可能 一分間に20%の肉体再生が可能 【長所】オーバーフリーズ 【短所】それ以外 【戦法】オーバーフリーズ 【備考】気力150状態(オーバーフリーズ常時展開)で参戦 833 :格無しさん:2009/06/19(金) 10 20 27 オーバーデビル考察 ○~真ゲッター 停止勝ち ○ソル~キングゲイナー 攻撃のオーバーフリーズは効かないが常時は効いてる ×エンペラー 追放負け ×ライディーン 宇宙破壊負け エンペラー>オーバーデビル>キングゲイナー
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/146.html
私は人ではない ◆7vhi1CrLM6 「動きそうか?」 暗い森の真っ只中に直立している金色の機体――百式。 その輝く装甲の隙間からひょっこりと頭を出したクインシィ=イッサーを見つけて、ジョナサン=グレーンは声をかけた。 「無理だな。派手な損傷は見当たらないが、壊れているようだ」 装甲の上に立ち上がり、彼女はこちらを見上げて話を続ける。 「これに乗っていたのがお前の言うキラとかいう奴なのか?」 「いや、違うな。奴は戦艦に乗っているはずだ」 本来キラが待っているはずの場所にキラの姿はなく、代わりとして近場に残されていたのがこの百式だった。 ということはだ。 「Jアークにその機体のパイロットも同乗して移動したのだろう。周囲に戦闘の跡もない」 「どう思う?」 「どう思うとは?」 「パイロットについてだ。コックピットでこんなものを拾った。見えるか?」 「ちょっと待て……。よし、いいぞ。良く見える」 慌てて手元を操作してクインシィが摘んでいるものを拡大してモニターに表示する。 そこには20cmあまりの茶色い糸のようなものが映し出されていた。 「これは……頭髪か。だが、それがどうした?」 「他に緑のものと5cm程度の白いものと黒いものの種類が確認できる。そしてさらにこれだ」 目を細めて新たに画面に向かって掲げられた白い一本の線を注視する。 「長いだけで特に違いはないと思うが……」 「よく見ろ。全体的に太く、弾力を持っている。これは髭だな。猫の髭なんかがちょうどこんな感じだ」 「四色の毛に動物の髭……そいつは人間か?」 「わからない。しかし、可能性は考慮しておいたほうがいい」 動物の特徴を持ち、なおかつ機動兵器を操縦しうる存在。 そんなものを考え、思い浮かんできたのは―― 「化け猫……まさかそんなものが実在するとでもいうのか」 「オルファンやアンチボディーだって発見されるまではそんな存在があるとは、夢にも思われていなかった。 それに我々を集めたあの化け物に比べればその程度の存在可愛いものだ」 「だが、そんな奇抜な者がいれば最初の場所で……待てよ。 そういえば仮面を被った者がいたな。一人……いや二人か」 「そういうことだ。馬鹿げているとは思うがこの環境に適応するしかあるまい」 「しかし、与太話もここまでだな。熱源反応が一つ。迷走しているが確実に近づいてくる」 空気が変わり、動きが変わる。緊張が充満していく。 すぐさまゲッターに乗り込んだクインシィから通信が入り、レーダーから視線をずらした。 「この反応は……ジョナサン、敵だ。問答無用で叩き潰すぞ」 獲物を見つけた猫のような顔がそこにあった。それにジョナサンもにぃっと笑い、答える。 「ならばまずは俺にやらせろ」 ◆ ほの暗い森の中に何かがきらめくのを見つけて流竜馬は大雷凰の動きを早めた。 きらめきの元が何かまでは判断がついていない。しかし、何か金属質なものが月明りを反射したものであることは間違いない。 この世界で、こんな森の中、そんなものは機動兵器ただの一つしか存在しない。 つまりは己の敵だという事だ。 ――隼人を殺った奴か? 一瞬の自問。同時にそんな考えが頭を過ぎった自分を苦々しく思い、苛立つ。 それが、長年追い求めてきた仇敵を目の前で掻っ攫われたことによるものか。 あるいは、かつての仲間を眼前で殺されたことによるものか。 それを考える思考を竜馬は持たない。というよりは、思考の方向性がそちらを向いていないといったほうが正しいか。 己の気持ちの在り処を探るよりも、そういう行為自体を疎ましく思う――そういう荒い気質の持ち主なのだ。 「へっ、関係ねぇ。奴が隼人を殺った奴だろうとなかろうと敵はぶっ潰す」 竜馬が口元で笑い。大雷凰が一足跳びに黒々とした木々を飛び越える。 眼下には20m前後ほどの機体が一機。大鎌を頭上に大きく振りかざし、迷いもなくそこに飛び込む。 「うおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」 獣のような咆哮と共に大鎌は月夜に振り下ろされた。 金色の機体が真っ二つに切り裂かれ、刀身が深々と大地に突き刺さる。 そして、大地に亀裂が走り、その中心から高速回転をするドリルと共に真ゲッター2が姿を現した。 「何だと!!」 差し迫るドリルに、大鎌を引き抜く余裕もなく手放し、咄嗟に地を蹴り上空へ飛び退く。 次の瞬間、大雷凰はドリルの回転に掻き乱され巻き起こった竜巻状のエネルギーに呑み込まれた。 「かかったぞ、クインシィ!」 翻弄される大雷凰を尻目に、赤・白・黄、三色のゲットマシンがその渦に乗り脇を駆け抜ける。 「おうさ、ジョナサン!」 大雷凰が押しやられ、追い込まれていくその先で三体のゲットマシンは合体し、赤い悪魔が姿を現した。 見ずとも、聞かずともゲッター1を知り尽くした竜馬には分かる。この後に来る攻撃は―― 「ゲッタアアァァァァアアアッッ!! ビイイィィィィム!!!」 「なめんじゃねええええぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!」 ピンクの閃光が鋭く走り、大雷凰の肩口を抉り飛ばし、大地に穴を穿つ。 瞬間、ドーム上の火球が地表に現出し、その余波で真ゲッター2の巻き起こした竜巻は吹き飛んだ。 その中心を竜馬は駆け上がる。ゲッターに向かって、一直線に、脇目も振らず。 ゲッタービームを放ったことによる僅か零コンマ数秒にも満たない硬直。その隙に二機の距離は詰まり、大雷凰の左腕はゲッターの頭部を鷲掴み、無造作に引き寄せる。 駆け上がってきた勢いそのままの膝蹴りが、ゲッターの腹部にめり込む。 ゲッターの巨体が折れ曲がり、僅かに浮かび上がったその刹那、腹部から閃光が迸った。 だが、すでにそこには大雷凰はいない。その姿は遥かな上空に存在していた。 「へっ! 隼人の野郎に見込まれただけあって、ちったぁやるじゃねぇか」 ◇ 大雷凰は左腕で鷲掴みにした頭部を膝蹴りの時には既に離し、腹部を蹴り上げたその瞬間には、勢いを殺さず流れるように上空に離脱した。 その動きを目の当たりにして、クインシィは一つの疑念を頭に抱く。 「奴はこの機体を知っている?」 現実には流竜馬は真ゲッターのことを知らない。しかし、ゲッターについては熟知している。 ゆえにゲッタービームの発射口の存在するゲッター1の腹部、ゲッタードランゴンの額、その二点に対する注意は片時も怠っていなかった。 この差は地味なようでいてかなり大きい。 真正直に使ったときのみならず、兵装を知らないことによる不意打ちも成立しないだろう。 ならばどうする、とクインシィは自問する。そして、その答えは決まっていた。 「ジョナサン、正攻法で奴を突き崩す。大技はここぞというときにとっておけ」 「クインシィ、なにびびってる。たった一機の! それも半壊した機体だぞ!!」 「侮るなと言っているのだ」 「どうした? オルファンのクインシィ=イッサーともあろうお方が臆したのか」 「そうではない」 「なら、決まりだな!」 ゲッターが分離し、ジャガー号が先陣をきって大雷凰に突撃する。 こうなってしまっては渋々追いかけるほかなかった。 「ジョナサン! ちぃっ!!」 距離は十全。合体は可能だ。 機体を故意にぶらせて速度を削ぎ、ベアー号を先に行かせる。 ジャガー号とベアー号がドッキングするその先で、大雷凰が重心を落とし低く構えるのが見えた。 そしてその次の瞬間、大雷凰は一筋の雷の如く天から突撃を開始する。 十全と思われた距離が潰れていく。 「しまった!」 間に合うか――そう頭に思い浮かべたときにはレバーを引いていた。 二つの声が響き唱和する。 「チェエエェェェエエエエンジ!!」 「ゲッタアアァァァアアアア!!!」 両脚部に変化したイーグル号がベアー号とドッキングを果たし、ライガー号からは両椀が突き出していく。 その右腕には巨大なドリルが、左腕には鉤爪のようなものが構成され、ワイヤーやケーブルが剥き出しの椀部を白いパネルが覆い尽くしていく。 そして、最後に頭部が僅かに迫り出し、両眼が見開かれた。 「逝けよやああぁぁぁああああ!!!」 既に激突寸前、無に等しい距離の中を真ゲッター2は右腕のドリルを突き出し加速する。 大雷凰の蹴りは真ゲッター2の腹部を掠め抉り、真ゲッター2のドリルもまた大雷凰の脇腹を掠める。 高速回転を続けるドリルと装甲の狭間で火花が散り、耳に衝く甲高い高音と焦げ臭い異臭を放つ。 「ジョナサン、次が――」 全てを言い終わる前に大雷凰に肩膝でのしかかられるような格好になり、拳が顔面にめり込む。 続けて二発三発と打ち込まれ体勢が崩れ、四発目を掌で打ち込まれてそのまま顔面を押さえつけられた。 一瞬の浮遊感。そして、一気に落下が始まる。 ――叩きつけられる! 地面に!! サブパイロットの位置座り込んだとて、ゆっくりと落ち着いている暇はない。 メインパイロットは目の前の敵に意識を集中せざるお得ない。その分、周囲に対する警戒はこちらの肩に圧し掛かってくる。 計器を読み取る。 高度は――十分。 レーダーは――東に熱源反応。 「ちぃっ! ジョナサン、オープンゲットだ!!」 返事を待たずに強制分離。 三つに分かれたゲットマシンはそれぞれに大雷凰の脇をすり抜ける。 急速に離れ、大地へと降り立った大雷凰とは対照的に上空で合流すべく上昇を続けるゲットマシン。 その中でクインシィは目まぐるしく周囲を伺い、見つけた。 まだ夜明けまで程遠い東の空、森林の上を飛ぶ蒼いブレンパワードの姿を―― 「ジョナサン、勇がいたぁ! 勇がぁ!!」 ◆ 蒼くまっすぐな長い髪と抜けるほどの白い肌を持った青年期の女性グラキエース。 彼女は蒼いブレンパワードの中で必死の抵抗を続けていた。 視界の内では二機の機動兵器が死闘を演じている。 一つは、赤いマフラーを首に巻き、片腕と頭を失った機体。 もう一つは、西洋の小悪魔を思い起こさせるシルエットの赤い機体。 それらが放つ猛々しいまでの激情が、体を取巻いていた。 流竜馬の内に篭る激しい復讐心が、ジョナサン=グレーンとクインシィ=イッサーの捻じ曲がった肉親に対する情念が、肌に纏わりつきじわじわと浸透してくる。 その感覚は無視できるほど弱くはなく。 また理性を失わせるほど強くもなく。 もどかしい。 好物を目の前に、焦れて体から湧き出たメリオルエッセの本能が囁きかけてくる。 あれをよこせと。 あの感情のベクトルをこちらへ向けろと。 そのぞくぞくと這い上がってくる陰湿な本能に嫌悪し、かぶりを振った。 ――嫌だ! そんなこと……私は望んでいない!! 拒絶に意味はなかった。 負の感情を吸い取るように作られた体は、意志の力に左右されはしない。 しかし、体は意志に容赦なく干渉してくる。 それに反抗するということは、弄られているようなものだった。 いっそ流されてしまえば楽なのは目に見えて分かっている。 だけど、流されるということは昔の自分に戻るということだ。 ジョシュアと会う前までの自分に戻るということだ。 ジョシュアと出会ったことが、過ごした日々がなくなるということだ。 それは、苦しい。泣き出したくなるほどにつらい。 でも、流された苦痛の先に快楽が見える。このままではいつか押さえが利かなくなる。 逃げよう。 この場に残っていても意味はない。 ここから少しでも遠くに、遠くに逃げよう。 そう思ったとき、体を包み込む情念が数倍に跳ね上がった。愛憎の入り混じった複雑で強烈な情念が向けられている。 ――どこから? 何故、私に? 体が強張り、自分を自分で抱きしめるようにして身を縮める。 無理だ。 もう耐え切れない。 ここから早く逃れよう。 そう思い動き出そうとした瞬間、栗毛でショートカットの少女がモニターに映し出された。 「勇ッ!!」 少女が叫ぶ。その声に乗って情念の波が襲ってくる。 腕に力を込めて、唇を噛み締めて押し黙り、波が過ぎ去るのをじっと耐えて待つ。 モニター越しの少女の表情が瞬く間に曇っていき、眉間に皺が寄っていくのが見えた。 「お前は誰だ? 何故、勇のブレンに乗っている?」 愛しさの入り混じった捩れたものから純粋な憎悪へと感情の質が変わる。 そしてそれが真っ直ぐ射抜くように自分へと向けられている。 「答えろ! 勇をどこへやった?」 全身に血が巡る。 メリオルエッセとしての本能が押し寄せる。 押さえつけていた理性の箍が外れていく。 それを必死で繋ぎとめる。 「勇だよ! 勇を出しなさい!!」 問いに答える余裕は既にない。 痺れを切らした少女の通信が途切れる。 ぼやけた視線の先で赤い悪魔が姿を消し、間際に現れた。 同時に振り下ろされた巨大な斧を、咄嗟に半身になってかわす。 そしてそのとき、迫る斧に対応するために意識がわずかに削がれた。 一瞬だった。 その刹那とも言える一瞬で、驚くほどあっけなく理性は敗北する。 押し切られ、一線を越えて――心が堕ちてゆく。 後はもうふわふわと浮ついた夢のようで、何が何だかよく分からなかった。 ◇ 赤いマフラーの機体と赤い悪魔が真っ向から衝突し、押し合い、せめぎ合う。 その間隙を縫って、蒼いブレンパワードが駆け抜ける。 大雷凰、真ゲッター、ネリー・ブレン、三機の機体が入り乱れていた。 その内の一機――真ゲッターの中でジョナサン=グレーンは「まずいことになった」と一人ぼやく。 ここで三つ巴の形になるということは予測していなかった事態だ。 半壊した機体を落とし、敵対する参加者を一人減らす。それが目的だったはずだ。 それが、クインシィが勇のブレンパワードを見つけたことで狂った。 戦いの最中には時として思いがけなかったことが起こるものだ。三つ巴になったこと事態がその現われといっても良い。 三つ巴になったことでそれが起こる可能性は飛躍的に高まった。 一対一ではありえなかった事態が起こりうる。 これを二対一の形に持っていけば危険性は格段に減るのだが、クインシィの気性はそれを受け入れないだろう。 ならばやることは決まっている。 「クインシィ=イッサー」 「うるさい! 何だ!」 戦闘中である。視線も合わせずに怒鳴り返された。 が、ここで怯むわけにもいかない。不機嫌を買うことを承知で話を続ける。 「ここは引き上るぞ」 「な……に?」 「俺だって、引き上げ時ぐらい知っているつもりだ」 「正気かジョナサン? 勇のブレンパワードがいるのだぞ!」 ここでクインシィを説得できるかどうかが一つの分かれ目だった。 元々理屈の分からない女ではない。それを受け入れる余裕が有るか否か、そこが問題なのだ。 そして、今はそれが有ると踏んでいた。 先の読めない三つ巴の中にどっぷりと漬かってしまうわけにはいかない。 「あのブレンパワードに乗っているからといって、伊佐美勇と面識があるとは限らない。 ここでは何のゆかりもない機体に乗っている奴が五万といる。それはご存知のはずだ。 ならば、下手に潰し合いに混ざるよりは離脱したほうが得。そういうことだ」 「ブレンパワードはオルファンを傷つける」 「それの後始末も上手く行けば奴がやってくれる」 「だが……くっ!!」 そこで会話が途切れた。 踏み込み振るったゲッタートマホークが隻腕となった大雷凰に掴まれたのだ。 「悪いな。鎌より斧のほうが好きなんだ。こいつは貰っていくぜ」 通信に割り込んできた男の声が鼓膜を揺らす。 同時に衝撃が奔り、ゲッターが地面に背中から蹴り落とされる。 「クインシィ、体勢を立て直せ!」 「今、やっている!」 大地に激突し、起き上がろうとしたゲッター。 その腹の上でバイタルジャンプを示す鋭い異音が鳴った。 途端に背筋にぞくりとした悪寒が走る。 そこは僅か装甲一枚を隔てたコックピットの向う側。直線距離で言えば1mもない。 画面一杯に映し出されているブレンよりも、直にコックピットに反響してくる音に恐怖を感じる。 突きつけられたブレンバーにチャクラ光が灯るのが鮮やかに目に映っている。 ゴトリ、とゲッターの装甲を足場として確保した音が直に響き、顔が蒼白になり、叫んだ。 「クインシィ!!!」 が、次の瞬間、それは発射されることなく、異音と共にブレンの姿は掻き消える。 そして、代わって視界を占めたのは唸りを上げて迫り来る大雷凰の蹴り。 右手で近場に転がっていた百式の半身を掴み、横から叩き付け、そのまま横に転がるようにして蹴りをさけた。 画面の向うで唇を噛み締めつつクインシィが叫び、判断を下す。 「ちっ! ゲッター2で地中に潜行。その後、離脱する。いいな!!」 「その言葉、待っていた!!」 瞬間、分離。千に砕けた金色の破片が降り注ぐ中、ゲットマシンは上空を目指し、真ゲッター2へと姿を変えた。 一転して、大雷凰直上からの垂直降下。 「そこにいると怪我するぜ。ドリルハリケエエェェェエエエエン!!!!」 叫び、右腕のドリルを突き出し、速度を上げ、全速で突っ込む。 サイドステップでさけた大雷凰を掠め、大地にまともに激突する。 が、これでよかった。ゲッター2の右腕はいかなる岩盤をも打ち砕き大地に穴を穿つドリル。 地中へとゲッターは潜行し、その姿を隠した。 ◇ 岩盤を掘削する音が遠のいていく。ゲッターの放つ信号がレーダーの範囲外に抜けていく。 途中で地上に出たのだろう。その速度は驚くほど速い。 追いかけることは既に諦めていた。 地上を疾駆するゲッター2に追いつける存在など在りはしない。 「また逃げやがったか……」 口から漏れた言葉はゲッターにだけ向けた言葉ではない。あの蒼い小型機もまたいつの間にか消えていた。 二機――否、隼人を落とした機体も合わせれば三機とも逃した。 結局、この30分余りのいざこざが竜馬に残したものといえば、他には真っ二つに切り裂かれた機体の半身とゲッタートマホーク。 代償は大雷凰の片腕とゲッターサイト。それに自身の体力の消耗だった。 望んだ戦果には程遠い。 「ちっ! けちが付いてやがる」 その付き始めはおそらくあの濃紺の可変機と相対したときからだろう。 あの一戦で負った損傷が大雷凰の力を大きく削いだ。 そして、その後戦闘を重ねるにつれて徐々に、しかし確実に大雷凰は力を落としていっている。 決まると思った攻撃が決まらず紙一重でかわされる。 機体の動きと体の動きの間に僅かな齟齬が生じてきている。 一度調整が必要だった。 「このまま勝てれば楽なんだがな……」 誰に言うともなく呟き、竜馬はサブモニターに地図を引き出した。 現在地から東、あるいは西に四ブロック。そこに存在する基地に目が止まる。 整備の為の設備ぐらいはあるだろう。部品の有無は分からないが、最悪この金ぴかの機体を使えば良い。 規格はまず合わないだろうが、何一つ流用できないということも考えにくい。 整備のことを考えるなら間違いなくそこだった。 だが、そこは同時に他の参加者が集まりやすい場所でもある。 だったらどうする―― 「へっ! そんなことは関係ねぇ」 蹴散らし、血祭りに上げる。ただそれだけだ。 大雷凰もまだ二三戦は優に戦えるだけのタフさを持っている。 頭部を?がれ、片腕を失った現在でさえ、あの見知らぬゲッター相手だろうと遅れを取るとは微塵も思っていない。 ギラついた目で竜馬は笑う。 あらゆる物に化け、何処からともなく無数に沸き、襲ってくるインベーダー。それを相手にした月面戦争。 復活した早乙女博士を相手に、大地を覆い尽くすゲッタードラゴンの群に囲まれていたここに飛ばされる寸前の状況。 それらに比べれば、この程度の状況はぬるま湯につかっているようなものだ。 巨大な鉞を肩に担ぎ、百式の半身を引き摺り、大雷凰は再び動き出す。 目指す先はG-6基地。その足取りはしっかりと大地を捉え、迷いなくゆるぎないものだった。 ◆ 流竜馬から北にちょうど50km――C‐5地区の暗い森の中にネリー・ブレンは姿を隠していた。 その中で、ラキは体をブレンに預け、ぼんやりと木々を眺めていた。 戦場から離脱したのはラキの意志ではない。ブレンが独断で跳んだのだ。 あのときのことは夢の中の出来事のようにしか覚えていなかった。 醒めてしまえばそれは途切れ途切れの記憶の断片とでしか残らない。 しかし、それでもおぼろげにどういうものだったのかは分かる。 ギンガナムに立会いを申し込まれたときはこうではなかった。 明らかにメリオルエッセとしての機能が修復していっている。本能が、欲望が増している。 それが徐々に進んでいるのか、負の感情に当てられたときに一気に進行しているのかはわからなかった。 「くくく……フフ……ハハハハハハハハ……」 ひとしきり笑い。そして、肩を震わせて泣いた。 ぽろぽろと大粒の涙が零れ落ちる。 今になって本当の意味で自覚する。 私は人ではない。 もしかしたら、もうメリオルエッセですらないのかもしれない。 少なくともジョシュアに出会う前、純粋なメリオルエッセであった頃には、こんなに惑わされなかった。 こんなにも自分の体を嫌だと思うことなんてなかった。 ジョシュアの心と混ざり合うまでは感情が希薄だった。 そのせいかも知れない。 人と混ざり、メリオルエッセでもなく、人でもない――半端者。 私は壊れているのだ。 だからといって心を捨て去ることも出来ない。 それは裏切りだ。 ジョシュアに対する酷い裏切りだ。 ジョシュアは言ってくれた。 人でなくても関係ないと。 でも私はやっぱり人になりたかった。 ジョシュアと同じ人になりたかったんだ。 だからいくら辛くてもこの心は捨てれない。捨てられない。 もう人になることが叶わぬとしてもせめて……。 せめてあの頃に戻りたいんだ。 ジョシュアがこんな私でもいいと言ってくれた、あの頃の私に。 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:疲労小 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:C-6 第一行動方針:ジョナサンと共にキラのところへ 第二行動方針:勇の撃破 第三行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日) パイロット状態:良好 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:C-6 第一行動方針:クインシィと共にキラと合流 第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする 第三行動方針:強集団を形成し、クインシィと自分の身の安全の確保 最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先) 備考:バサラが生きていることに気付いていません。 【流 竜馬 搭乗機体:大雷鳳(バンプレストオリジナル) パイロット状態:怒り、衰弱 機体状態:装甲表面に多数の微細な傷、頭部・右腕喪失、腹部装甲にヒビ、胸部装甲に凹み 現在位置: C-6 第一行動方針:G-6基地で機体の整備 第二行動方針:クルツを殺す 第三行動方針:サーチアンドデストロイ 最終行動方針:ゲームで勝つ 備考1:ゲッタートマホークを所持 備考2:百式の半身を引き摺っている】 【グラキエース 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:精神不安定。放送の時刻が怖い 機体状況:無傷、EN残量3/4 現在位置:C-5 第一行動方針:アイビスを探す 最終行動方針:??? 備考1:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません 備考2:負の感情の吸収は続いていますが放送直後以外なら直に自分に向けられない限り支障はありません】 【二日目0 30】 BACK NEXT ・――言葉には力を与える能がある 投下順 吼えろ拳/燃えよ剣 鍵を握る者 噛合わない歯車 時系列順 謀 ―tabakari― BACK NEXT 我が道を走る人々 クインシィ それぞれの思惑 我が道を走る人々 ジョナサン それぞれの思惑 Take a shot 竜馬 解し得ぬ存在 暗い水の底で ラキ Shape of my heart ―人が命懸けるモノ―